どっちかといえば松本人志が好きな人。
ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
緩急のないずっとハイペースな映画で見てて疲れます。
監督/スティーヴン・ソマーズ
出演/ブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ、ジョン・ハナー
(2001年・米)
この映画は、「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」の続編です。主人公のオコーネルは、考古学者エヴリンと結婚を果たし、2人の間にはアレックスという息子も生まれ、ハムナプトラから持ち帰った財宝で優雅な生活を送っていました。しかし彼ら夫婦の考古学に関する情熱は衰えず、日々遺跡探検に繰り出していました、ある日彼らは、遺跡を発掘した際に、幻の地に存在する黄金のピラミッドの所在を示すブレスレットを発見します。しかし、好奇心でそれをはめたアレックスは、腕輪を狙う謎の集団に誘拐されてしまいます。
この映画の前作を見たのはかなり昔なんですが、この映画は前作の完全な続編になっていて、何の前フリもなくいきなり本題に突入しています。僕は何年も前に見た前作の内容なんかほとんど覚えてなかったし、娯楽映画だと舐めてかかって何の復習もせず見たので、登場人物や人間関係が最初はまったく分からず、ストーリーを把握するのに時間がかかりました。
まあ見ているうちにだんだん前作の内容を思い出してきて、話もわかってきたんですが、それでもやっぱり面白くなかったですね。
面白くないどころか、見ててすごい疲れる。見てる途中でいったんDVDを止めて休憩を入れたほどです。CMで変な間が出来るのがイヤだから、TVでやっている映画はほとんど見ない僕がこんなことをするのは非常に珍しいです。
なぜなのかいろいろ考えたんですが、CGをこれでもかというぐらい使って、全編見せ場の連続なんですが、あまりにも緩急がなくずっとハイペースだから見てて疲れるし、派手なアクションシーンにも飽きてくるから面白くもないんでしょうね。
いくら娯楽映画でも、もうちょっとメリハリをつけてくれれば、良い映画になってたかもしれないんですけどね。単発で見たら迫力のある面白いシーンはいっぱいあるんですから。
そして、ストーリーも、もうちょっとはイムホテップとアナクスナムンにも華をもたせてほしかったですね。善の側の主人公夫婦と悪の側のこいつらを対比させたかったんでしょうが、ここまで悪の側の絆の弱さをアピールして、みじめに描かなくても良かったような気がします。この徹底的な勧善懲悪ぶりと家族愛の描き方がいかにもハリウッド作品らしくてちょっと鼻につきました。
このシリーズの、頭を使わず純粋に楽しめる作品づくりという姿勢は好感が持てますけど。それでもこの映画の評価は★2ぐらいですね。
<ハムナプトラ2/黄金のピラミッド 解説>
前作「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」から2年の歳月を経て制作された冒険アドベンチャーの続編。死者の都ハムナプトラでの死闘から8年後。リックとエヴリンの間にはアレックスという息子が生れ、世界各地で遺跡発掘に忙しい日々を送っていた。そんなある日、ふたりは金色に輝く不思議なブレスレットを発見するが、それをいたずらではめた息子アレックスが何者かに誘拐されてしまう……。
ジョゼと虎と魚たち
主人公の若さゆえの不器用な生き方に感動しました。
監督/犬童一心
出演/妻夫木聡、池脇千鶴、新井浩文
(2003年・日)
この映画は、普通の大学生の恒夫と、脚が不自由で歩くことのできないジョゼとの、出会いと、やがて芽生える恋愛を描いたラブストーリーです。雀荘でバイトをする恒夫は、ボロボロの乳母車を押して歩く老婆の噂を聞きます。そしてある日、恒夫が雀荘のマスターの犬を散歩させていると、坂の上から乳母車が走ってきて、ガードレールに衝突します。恒夫がその乳母車の中身を見ると、包丁を持った老婆の孫でした。彼女はジョゼという名前で、変わり者で生活保護も受けない祖母のもと、車椅子も持っておらず、オンボロの家に住み、拾った服を着て、拾った本を読むのを楽しみにするという、まさに底辺の暮らしをしています。ジョゼに興味を持った恒夫は、彼女と交流をもつようになります。
ただ単に恋愛の甘さを描いているだけでなく、ある意味残酷な現実もしっかりと描いています。同じように身障者と健常者の恋愛を描いた「ビューティフルライフ」とかいうTVドラマとは比べ物にならない、素晴らしい作品です。
ですが、感想が人によって違ってくるような映画ですね。男性と女性でも違うと思いますよ。女性は、恒夫にあまり好感はもたないでしょうね。こいつは典型的な女を不幸にするタイプですから。そんなひどい男である恒夫に翻弄されながらも、最後には強く生きていこうとするジョゼの姿に感動するんでしょうね。一緒に見た僕の嫁はんも、こんなような感想を言っていました。
逆に男である僕は、恒夫のずるいくせに優しい、不器用な生き方すべてに感動しました。ラストの恒夫が泣き崩れるシーンは僕も涙ぐんでしまいました。彼の若さゆえの不器用さが本当にうらやましいですね。
やっぱりこういう経験が出来るのは、世間が分かってない大学生ぐらいの頃ですね。僕はもういい大人だし、ジョゼと出会ったとしても、自分の持つ善意をここまでまっすぐに彼女にぶつける勇気はないですし、そもそも家族以外の他人をそこまで受け容れることがもうこの年ではできません。仮に付き合うことになって、それが悲惨な結末になったとしても、恋愛というのはそういう流れになるのも仕方がないものだと割り切ってしまうから、突然道で泣き崩れたりはしないでしょうしね。
それに僕は、ラストまで見ても、ジョゼが強いとかはまったく思いませんでした。諦めるということをすごく良く知っていて、幸福の裏側にある不幸も同時に見ることができる人なんですけど、好きで諦めているようには見えませんね。ジョゼとは対照的に恒夫が弱くてバカな男に見えますけど、僕は彼が弱いともバカとも思わないですし。恒夫が社会に出ていない普通の若者で、ジョゼが今までの経験ゆえに自らは望んでいないのに大人っぽい考え方になっている人だなと思いました。
この映画の評価は満点ですね。重たいテーマを扱っているわりに、明るさと透明感も兼ね備えているいい作品です。気になるところといえば、変にセックス描写がねちっこいところだけです。
俳優陣の演技は素晴らしかったです。池脇千鶴は前から演技が上手だなあと思っていたので、この映画の演技では特に驚きはありませんでしたが、僕の嫌いな妻夫木聡と上野樹里が、役に合っていて、いい演技をしているのはびっくりしました。特に妻夫木聡なんかは、私生活も本当に恒夫のような人間じゃないかと思えるぐらい適役です。ジョゼに対する気持ちの揺れを表現するのがすごく上手でした。上野樹里も、僕が好きじゃない理由は気が強そうに見えるからなので、身障者に平気で暴言を吐き、暴力を奮うこの悪女役はぴったりでしたたね。
<ジョゼと虎と魚たち 解説>
大学生の恒夫はアルバイト先の麻雀屋である噂を耳にする。それは、近所に出没するひとりの老婆のこと。彼女はいつも乳母車を押しているが、その中身を知る者は誰もいないというのだ。そんなある朝、恒夫は店のマスターに頼まれて犬の散歩に出掛けると、坂道を走ってくる例の乳母車と遭遇する。そして、彼が乳母車の中を覗くと、そこには包丁を持った少女がいた。脚が不自由でまったく歩けない彼女は、老婆に乳母車を押してもらい好きな散歩をしていたのだ。これがきっかけで彼女と交流を始めた恒夫は、彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていくのだが…。
ザ・ビーチ
この映画で良かったのはピピ島の映像だけです。
監督/ダニー・ボイル
出演/レオナルド・ディカプリオ 、ティルダ・スウィントン 、
ヴィルジニー・ルドワイヤン
(1999年・米)
この映画は、公開時にかなり評判が悪かったのを覚えています。だから僕もその世論を信じて今まで見てなかったのですが、もしかすると自分は変わり者だから、こういうみんなが面白くないと言う映画の方が面白いと感じるかもしれないと思い、気まぐれで見ることにしました。しかし、結論を言うと、みんなと同じく僕も面白くなかったです。
ストーリーは、主人公であるアメリカ人の青年リチャードが、伝説の楽園の地図を手に入れるところから始まります。その後リチャードは友人達とその秘密の楽園を捜し求め、美しい島を発見します。その島で主人公が体験する様々な出来事が描かれています。
この映画は島に着いてからの人間模様がメインのストーリーです。僕はこの映画を見る前に、「楽園っていったいどんな風に描かれているのだろうか?」という「楽園」の神秘性や奥深さの描写にけっこう期待していたので、楽園の実態が自然が豊かな普通の島に若者達が群れて生活してるだけということが序盤で判明し、かなりがっくりしましたね。
どう見てもそこが楽園には見えないですしね。別に特殊な力が働く土地でもないから、仕事はしないとだめですし、人間関係のしがらみはあるし、娯楽といえばスポーツぐらいで退屈そうですし、もちろんガスや電気や水道などは使えないから不便ですし、一般的な社会と比べて何のメリットも感じなかったですね。ただ自然が豊かなだけです。そりゃ普段都会に住んでいて気晴らしに1週間ぐらい暮らすだけならいいですけど、こんなとこで絶対定住はしたくないですね。島の人々は生活を楽しんでいるように描かれていましたけど、かなり違和感を感じました。
監督が、この島は一見楽園なんだけれども、実はゆがんだものなんだよと言いたいのは分かります。暮らしているのは白人の若者ばかりですし、大きなケガをした人は邪魔だから捨てられますしね。楽園への憧憬と楽園という言葉の持つ本当の意味の対比や、孤立した場所での人間の集団生活の難しさを描きたかったんでしょう。しかし、最初っから僕にはこの島の生活を全然素晴らしいものだとも楽園だとも思っていないので、イマイチピンとこなかったですね。
おまけに、途中主人公が急にジャングルでゲームのキャラクターみたいになる描き方をしてるところがあって、これがかなりしょうもなかった。今までに見たことない描写の仕方で、新しい何かをしようという監督の姿勢は分かるんですけど、失敗でしたね。
失敗といえば、ディカプリオもこの映画に出たのは間違いなく失敗でしょう。僕は「ギルバート・グレイプ」で彼をかなり評価したんですが、その後見た「タイタニック」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」でちょっとずつ下がって、この映画で急降下してもうマイナスになりました。
まあ、この映画は★2ぐらいですかね。良かったのは映像だけですね。ピピ島の海岸はむちゃくちゃきれいだったですし、住みたくはないですが行ってみたくはなります。しかし、僕ですらこの映画の舞台がピピ島だと知っているんですから、実際にピピ島に行っても観光客とかがたくさんいててビーチは踏み荒らされているんでしょうね。
<ザ・ビーチ 解説>
レオナルド・ディカプリオ主演のミステリアス・アドベンチャー。自由を求めて未開の地へ冒険する主人公を通し、現実感を喪失した現代のリアルな若者像を浮き彫りにしてゆく。ロバート・カーライル共演。監督に「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。刺激を求めてタイのバンコクへとやって来たリチャード。彼はそこで、地上の楽園と呼ばれる伝説の孤島の噂を耳にする。
ファイナル・デスティネーション
エンディングを2つ用意することだけはやめてほしい。
監督/ジェームズ・ウォン
出演/デヴォン・サワ 、アリ・ラーター、カー・スミス
(2000年・米)
この映画は、修学旅行で飛行機に乗った時に、凄惨な大事故の夢を見て大騒ぎし、飛行機から降ろされた主人公のアレックスと、そのドタバタの中で一緒に飛行機を降りることになった先生とクラスメイト達の話です。実際に飛行機はその後アレックスの夢のとおりに爆走・炎上したため、彼らは九死に一生を得たのですが、どうやら彼らはその飛行機事故で死ぬ運命であり、その運命からは決して逃れられないらしく、その後普通に日常生活を送っていてもありえないくらい不運なことが起き、次々と死んでいきます。
僕は運命論者ではないんですが、あまり他の映画では見たことないような設定だし、アイデアという点ではいいと思います。この映画は続編が作られているようなんですが、たぶん目新しいアイデアが受けたのでしょう。
しかし、運命という強大なものに逆らうことがテーマのわりに、この映画は全体的に軽いノリです。僕が今まで見た映画では、「スクリーム」や「ワイルドシングス」に似ていますね。
けっこう意表をついた死に方が多いので、「おっ、こいつこんな死に方しおった。」とかびっくりしたり、死にゆく運命の人達の中で次に誰が死ぬかハラハラドキドキして楽しむんでしょうけど、僕はどっか引いて見てしまっていましたね。
完璧に好き嫌いの問題でしょう。僕は「スクリーム」や「ワイルドシングス」も好きじゃないですし。僕はこの映画だったら、「どうしたら死なないですむのか。」と奮闘するよりも、「どういう原因でこういう運命になったのか。」を突き止めていく展開の方が良かったですね。これはこれでいいんでしょうけど、どうにもストーリーがシンプルすぎて好きになれない。
ラストも、「何じゃこりゃ!」と思いましたね。あっけなさすぎるでしょ。軽いノリの映画だからこういうラストでいいんですかね。よく分からないです。
しかし、DVDに特典映像としてもう一つのエンディングを入れるのだけは絶対にやめてほしい。映画というものは一つの作品ですから、エンディングは一つでしょう。もちろん、特典映像で監督が話してたとおり、はじめのエンディングが試写会で評判が悪くて変えたのだから、特典映像としてついているエンディングはあくまでおまけみたいなもので、本編とは関係ないという解釈をすればいいと思います。ですが、この映画を一つの作品として捉えるにあたって、やっぱりもう一つのエンディングが邪魔で、非常にまぎらわしい存在です。
というわけで、この映画の僕の評価はかなり低いです。★3としときましょう。映像なんかも安っぽいですしね。飛行機事故のシーンだけはなかなか迫力がありましたけど。
<ファイナル・デスティネーション 解説>
クラスメートや教師たちとフランスへの修学旅行に心ときめかせていたアレックス。そこは離陸寸前の飛行機の中。が、その瞬間、飛行機は大爆発……。それは夢だったが、これから飛行機が実際に離陸する直前で、あまりの恐怖にアレックスは“この飛行機は爆発する!”と叫びパニックに。結局、アレックスとその混乱に巻き込まれた6人を残して離陸した飛行機は実際に爆発してしまう……。運良く生き残った7人だったが、やがて彼らは次々に怪死を遂げていく……。
亀は意外と速く泳ぐ
内容はかなりくだらないが、僕は好きな映画です。
監督/三木聡
出演/上野樹里、蒼井優、岩松了
(2005年・日)
この映画は、夫が海外単身赴任中で、話し相手はペットの亀だけという単調な毎日を送る平凡な主婦、片倉スズメが主人公です。ある日主人公は、ふとしたことから「スパイ募集」の貼り紙を見つけます。思わず電話し、面接に行った主人公は、そこで自称スパイのクギタニ夫妻と出会います。彼らは、主人公の平凡さはスパイに向いていると評価し、彼女をスパイとして採用します。
見ても見なくても人生にまったく影響を与えない映画です。本当につまらない内容の映画です。いきなり普通の主婦がスパイに採用されるわけないですし、そもそもの設定がありえない映画です。登場人物も変な人ばっかりで、一人としてまともな人は出てきません。そして、全編を通して、ゆるい、くだらないギャグのオンパレードです。
しかし、見てて悪くないんですよ。間違いなく監督がくだらなさを目指してこの映画を撮ってますからね。はっきり言ってギャグはほとんどすべっているんですが、こちらは苦笑してしまうだけで、面白くなからとイライラしたりはしません。とにかく、まったりした空気の映画で、これ以上ないほどリラックスした状態で見れました。おそらく監督の狙いは、一般的なコメディ映画のように大笑いしてもらうことではなく、客にまったりした空気を満喫してリラックスしてもらうとこにあると思うし、それだったらこの映画は良く出来ていると思いますね。
それに一応テーマらしきものもありますからね。主人公の主婦はスパイになってからは、自分がスパイとばれないように、目立たず平凡に生きることを意識して日々暮らすようにするんですが、これが意識してしまうとなかなか難しく、かなり悪戦苦闘しています。つまり、平凡に生きるということがいかに難しいか、ということが描かれているんです。僕達が普段なにげに使っている、「平凡」とか「普通」という言葉の基準が、いかに曖昧であるかいうことでしょう。なかなかこの監督は鋭い所を突いていますよ。もしかすると僕が深読みしすぎてるだけかもしれないですけど。
おまけに、この映画は、ラストだけちょっと切ないんです。ただバカばっかりやっている映画だと思っていたので、これはちょっと意表を突かれましたね。そのラストに流れるレミオロメンの「南風」も、全然映画の内容と合っていないとは分かっていながらも、ちょっといい曲に聞こえて、僕はCDまで買ってしまいました。
評価は★8です。間違いなく賞とかを獲る映画ではないですが、僕はかなりこの映画は好きです。「亀は意外と速く泳ぐ」というタイトルもけっこう好きです。亀が泳ぐシーンなんて全くないんですけどね。
僕は主演の上野樹里が日本の女優で1、2を争うぐらい好きじゃないのに、これだけこの映画を気に入ってるんですから、僕以外の人もよっぽどくそ真面目な人じゃなければ、見たら絶対気に入ると思いますよ。
1つだけ気になったのが、蒼井優がイマイチなところですね。配役ミスというよりも彼女はそもそもこういう映画に合っていませんね。岩松了、ふせえり、温水洋一、嶋田久作などなかなか芸達者な人間がそろっているだけに、かなり浮いていました。上野樹里と要潤は、なぜかハマっていましたね。
<亀は意外と速く泳ぐ 解説>
三木聡監督の長編作品第二弾。主演は『スウィングガールズ』の上野樹里と『花とアリス』の蒼井優。主婦とスパイという意外なモチーフの組み合わせで独特の世界を描く。タイトルには「知っているはずの日常にもまだ知らない別の世界があり、それを知ることで少し幸せになる」という意味が込められている。平凡な主婦・片倉スズメ(上野樹里)は、ある日スパイ募集の張り紙を見て、応募。活動資金500万円を渡され、スパイ生活を始めるが……。