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ヤスオーのシネマ坊主
あるお方の『シネマ坊主』のパクリです。
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千年女優

千代子に魅力を感じない僕にはまったく面白くなかった

r081723070L.jpg ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 監督/今敏

 声の出演/折笠富美子、小山茉美、荘司美代子

 (2001年・日)

 
 映像制作会社の社長・立花は、かつての大女優藤原千代子に取材をし、彼女の人生を題材とした番組を作ることになりました。彼はさっそく千代子にインタビューをしますが、彼女の話は、初恋の人を時空を飛び超えて追いかける壮大なものでした。

 この映画は基本的にインタビューに答える千代子の回想シーンが延々と続くんですが、その回想シーンは千代子の頭の中だけの世界でなく、熱烈な千代子ファンでありその結果彼女の幻想世界に迷い込んでいってしまう立花の頭の中の世界でもあります。おまけにこの回想シーンは彼らの記憶の中の映画のシーンともリンクしており、非常にややこしい構成の映画です。

 場面展開がめまぐるしいのもあり、ストーリーについていくのがとても疲れましたね。僕は「東京ゴッドファーザーズ」を見て今敏監督に興味を持ち、今回この映画を見たのですが、そういう人は僕と同じく痛い目に遭うと思います。あっちはごく普通にストーリーが流れていく単純な映画で、この映画とは全然違いますから。

 そしてラストの千代子のセリフはこっちの疲れをさらに増幅させるとんでもないものです。「あの人を追いかけている私が好き」って、彼女は女優だからそれまでの自分の人生をこの一言で済ますのも分からんでもないんですけど、それまでこいつの恋愛話をストーリーを把握するのに四苦八苦しながら延々と見させられたこっちとしては、このセリフはあまりにもあっけなさすぎるでしょう。

 いや、悪い映画ではないような気はしますよ。世界の映画祭で高い評価を受け、ドリームワークスによって世界配給されるぐらいの映画ですから。かなり斬新なストーリーですし、人マネじゃない新しい感覚を持った監督だなと思います。しかし僕はこの映画は好きになれないですね。

 たぶん、主人公の千代子が好きじゃないからだと思うんですけどね。こいつを好きになることが、この映画を好きになるための必要条件ですよ。僕はテレビでオバハンになった昔のアイドルとかを見ると、「いつまで芸能界に固執しとんねん。老いさらばえて若い頃の美しさがなくなってみじめなだけやからおとなしく家にひっこんどれや。」と思ってしまう人ですから、千代子にも特に魅力を感じないですね。この映画の千代子はまったく芸能界に固執しているようには見えないんですが、基本的に年とった女に魅力を感じないんでしょうね。

 僕みたいなつまらない人間じゃなく、今の年取った千代子にも大女優のオーラなり何なりの魅力を感じることができる人は、きっと千代子に感情移入できるだろうから、この映画は面白いと思いますよ。なにせ彼女の回想シーンばかりの映画なので、彼女の感情の高ぶりに合わせて盛り上がることができると思います。僕は「この映像はしょせんは多少痴呆も入っとるババアの妄想や。」という冷めた気持ちで見てましたから、まったく盛り上がりませんでしたけど。そういえば僕は同じような理由で「タイタニック」にもまったく感動しませんでしたね。
 
 点数は★1ですね。ジブリのアニメやハリウッド映画が好きな人にはこんな破天荒な映画は絶対に受け入れられそうにないし、アニメオタクも間違いなく興味ない題材だろうし、僕のような思想を持った人間も面白さは感じないだろうし、かなり見る人を選ぶ映画です。男性よりは女性が見た方がいいかなというぐらいは分かるんですけど。

 




<千年女優 解説>

 映像製作会社社長・立花源也は、かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子の半生を振り返るドキュメンタリー制作を依頼された。千代子の大ファンだった立花は若いカメラマンを引き連れ、30年前に人気絶頂の中、忽然と姿を消し、以来公の場に現われなかった千代子の屋敷へ向かった。ようやく姿を現した千代子は、歳は老いても昔の清純な印象を残していた。そして、戸惑いながらも自らの人生を語り始めた。それは、女優になる前、女学生の頃に恋した名も知らぬ男性を、生涯をかけて追い求める壮大なラブ・ストーリーだった。  
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