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ヤスオーのシネマ坊主
あるお方の『シネマ坊主』のパクリです。
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油断大敵

あまり有名ではないが、見て損はしない映画

c100322151_l.jpg ★★★★★★☆☆☆☆ 

 監督/成島出

 出演/役所広司、柄本明、夏川結衣

 (2003年・日)

 

  妻を亡くし、男手ひとつで娘・美咲を育てている刑事、関川仁が主人公です。駐在所勤務から泥棒専門の刑事になったばかりの彼は、ある日、ひょんなことから大泥棒の通称「ネコ」こと猫田定吉を逮捕します。しかし、ネコは警察の取り調べをのらりくらりと交わし、ベテランの刑事をもっても自供させることが出来ません。ところが、仁の実直さを気に入った彼は、仁にあっさり自供を始め手柄を与えたうえに、泥棒刑事としてのイロハまでも教えてくれ、仁も成長していきます。

 この映画は、役所広司と柄本明というビッグな俳優2人が出ているのに、ビデオ屋で偶然見つけるまで存在をまったく知りませんでしたね。全体的に野暮ったく、今風のオシャレな映画では決してないので、イマイチ話題にならなかったんでしょう。たしかにストーリー展開はまったりしてるし、映像も地味です。2003年に作られた映画とは到底思えません。1980年代の邦画の匂いがします。監督の成島出も今となっては「フライ,ダディ,フライ」なんかでそこそこ有名ですが、この頃は無名だったでしょうし。

 しかし、すごい面白いわけではないですが、そこそこいい映画なんですよ。笑いあり涙ありの人間ドラマなんですが、地に足をつけて生きている生活感のある人間を一人一人しっかりと描いています。舞台となっている田舎の風景も、どこかノスタルジックでいい感じです。そして何よりも、主演の役所広司と柄本明が、役にピタリとはまっているうえに演技が上手い。この映画はこの2人の絡みのシーンが多いので、ある意味この2人がダメな役者だったら作品全体がダメになってしまうところですが、さすが大物2人といったところで、掛け合いのシーンは見てて面白かったです。

 この映画が実話に基づいていて、モデルとなっている刑事や泥棒が実際にいるというところもまたすごいですね。今時こんな朴訥な刑事と、自分の美学を持った泥棒なんていないですから。僕の今の職場は刑事さん達と仕事をすることがけっこうあるんですが、ベテランの人はともかく、若い刑事さんなんて物腰は柔らかいし、スマートだし、一見銀行員やサラリーマンに見えますからね。もちろん刑事さんと仕事をするということで、罪を犯した人たちとも会ったりするんですが、美学を持っているようには到底思えない人ばかりです。

 また、この映画はこの2人が演じる刑事と泥棒の奇妙な友情を描いているだけでなく、刑事とその娘という家族愛も題材になっています。父親が学童保育の女の先生といい仲になっていくと、娘は激しく抵抗し、病み上がりにも関わらず先生の作った食事を食べず、パジャマ姿で米をといだり掃除機をかけたりして、自分が1人で何でもできることを父親にアピールし、父親に再婚を思いとどまらせます。そしてこの娘はそのことをずっと気にしていたらしく、お父さんにぬか漬けを食べさせるために自分でぬか床を毎日かき混ぜたりしているんです。いくら好きな父親のためとはいえ、このくらいの年頃の子でぬか床をきちんと管理する子もそうはいないでしょう。先日見た「誰も知らない」が対照的な映画であったこともあって、この2人の親子愛にちょっと感動してしまいました。
 
 しかし、この娘も成長して、自我が芽生え、看護の勉強をし、世界中の恵まれない子どもたちのために海外に行きたいとか言い出すんです。父親にしてみれば、まあ自分は娘のために自分の幸せまで犠牲にして、一生懸命育ててきたたわけですから、そりゃ反対しますね。しかし最後には父親として、娘が自分の翼で飛び立とうとしている邪魔はしてはいけないということを理解し、旅立たせるわけです。このあたりも感動するシーンのはずなんですが、どうも高校生の娘役の前田綾花の演技がひどすぎて、イマイチでしたね。こういう地味な演出の映画はどうしても一人一人の演技をじっくり見てしまいますから、もうちょっとマシな女優にしてほしかったと思います。

 この映画の点数は★6ぐらいでしょうか。名作というわけではないですが、見て損はしない映画です。最近のTVドラマではあまりこういう作品はないので、この映画も存在価値はあると思いますね。

 しかしタイトルはダメですね。ほのぼのとした映画なのに、「油断大敵」というタイトルではどこか殺伐としたイメージを抱かせてしまいます。「オイッチニ」とかでいいじゃないですか。この映画に登場するピンチを脱出するおまじないです。「オイッチニー、オイッチニー、オイッチオイッチオイッチニー」というメロディがけっこう印象に残ります。





<油断大敵 解説>

 駐在所勤務から泥棒専門の刑事になった関川仁。彼は妻を亡くして以来、独りで8歳の娘・美咲を育てながら仕事に励んでいた。そして、仁がこの新任地に赴いて1年が経ったある日、だるま工場で盗難事件が発生する。数日後、美咲の自転車が故障した際、たまたま出会った男に修理してもらう仁。だが彼はこの時、男の工具鞄の中にだるま工場で飼っていたピラニアの餌の缶を発見する。実直で腰の低い仁を刑事と見抜けなかった男は検挙されるが、その正体は、何度検挙されても口を割らず最終的に逃げ切ってしまうという伝説の大泥棒・猫田定吉、通称ネコだった。

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誰も知らない

監督が母親の責任を棚上げしていることは許せない。

r081973033L.jpg ★★★★★★☆☆☆☆ 

 監督/是枝裕和

 出演/柳楽優弥、北浦愛、木村飛影 

 (2004年・日)

 

  母親と、その子どもの4人の兄妹の話です。子どもたちは母親によって社会から隔離され、学校に通うこともなく、特に下の弟妹はアパートの部屋から出ることすら許されません。しかし彼らはそれを受け入れて生きてきました。ある日母親は、現金20万円と「京子、茂、ゆきをよろしくね」と記した長男の明宛の書き置きだけを残して姿を消します。残された子どもたちの、自分達の生活を守り抜くために日々を生きていく姿を描いた話です。

 まず言っておきたいんですが、僕はこの映画は好きではありません。しかし、非常に完成度の高い映画です。演出も、編集も、撮影も、どこをとっても作り手の魂が感じられ、凄みすら感じさせる作品です。照明や音楽なども抑えているように見えますが、それがかえって静かな迫力を醸し出しています。僕も映画好きのはしくれとして、好き嫌いは置いといてこの映画が優れていることは認めます。

 この映画の秀逸な点としてまず言えることは、映画の世界観を壊してしまうようなナレーションや説明的なセリフは一切ないのに、子どもたち4人の父親が違うことや、子どもたちが学校に行かせてもらってないのにそのことに対して母親を憎んだりしていないこと、それどころか母親を愛していることなどを、上手な描写で自然にこちらに伝えてくれるところです。僕はよくドキュメンタリー番組も見るのですが、ああいうのは変にナレーションがたくさん入ってることが多く、こちらはあくまで見てるだけの第三者であることを再認識させられるので、登場人物に素直に感情移入できないですからね。

 また、実際に起こった事件が素材とはいうものの、この監督は事件の起こった状況、背景をモチーフにしているだけで、独自の解釈で作品を作っています。また、実際の事件は1980年代に起きていて、その頃は援助交際などはまだなかっただろうから、この映画は舞台を現代に移しているんでしょう。それなのに、この映画は、異様なまでのリアリティがあります。ここまでリアリズムを追及し、またそれに成功している作品には、僕は出会ったことがありません。見る側に感動や主張を押し付けるような過剰なドラマ性は一切排除し、風景画のように子どもたちの生活を描いています。子どもたちの演技もとにかくリアルです。目線も、仕草も、セリフも、ほとんど素に見えます。ここまでリアルな演技を引き出した監督の手腕はすごいなあと思いますね。

 映像も素晴らしいです。「母親が戻ってくる」というかりそめの希望がだんだんと絶望感に変わってくる子どもたちの表情の変化、それに伴って荒れていく子どもたちの生活する部屋の様子を丁寧に撮っています。また、部屋の外の世界の映像には一種の爽やかさも感じられ、この映画に澄んだ空気を与えてくれます。アポロチョコ、カップヌードル、おもちゃのピアノ、マニキュア、キュッキュッと音が鳴るサンダル、粘土、花の種などのこの映画に登場する様々なアイテムは、普通にどこにでも目にするものなんですが、一つ一つが生々しく映し出されています。
 
 そこまでリアリティがある作品だからこそ、母親に見捨てられるという不安がだんだんと大きくなっていき、心がおびえ不安定になりながらも、日々力強く生き抜こうとする子どもたちの様子を1シーン1シーン見るたびに胸が締め付けられていきます。僕が一番心に残ったシーンは、明はゲームセンターで出来た友人達を、生活費の一部でゲーム機を購入してそれを餌に家に呼んでまでつなぎとめておくんですが、万引きが出来なかったばかりにそいつらから見放され、明に聞こえるか聞こえないかの距離で「あいつの家、臭いんだよ」と言われるまでになり、結局友達の縁が切れてしまいます。しかしある日椅子から落ちた妹のゆきのために、明は湿布薬を万引きして、全速力で駈けて来て、ゆきを助けようとするんです。僕の頭の中には、「明はこんなにすさんだ生活の中でも良心や信念は失わずにしっかりと持っていて、それに従って自分の頭で考え動ける素晴らしい人間だ。」という思いと、「近所の大人でもコンビニの兄ちゃんでも誰でもいいから助けを求めろよ!っていうかまず救急車を呼べよ!お前はどこまで強情な人間なんだ。」という思いが交錯し、非常にもどかしい気持ちで胸がいっぱいになり、とてもしんどかったですね。

 というわけで素晴らしい映画なのは間違いないんですが、1つだけ許せないところがあって、それが僕のこの映画に対する評価を大きく下げているんですね。それは、監督が母親の責任を棚上げしてしまっていることです。僕はYOU演じる母親が明に言った「あたしが幸せになっちゃいけないの?」というセリフに本当にキレそうになりましたから。こいつに加害者意識はないんでしょう。しかし、子どもたちは間違いなくこいつの「幸せ」の犠牲になった被害者です。しかしこの映画では子どもたちを被害者として描くのではなく前向きに力強く生きているように描くことによって、加害者側の責任も曖昧にし、特に非難するような描写もありません。実際に悲惨な結末に終わった事件を題材にしているのに、監督もここを逃げたらいかんだろと思いますね。だから僕はこの映画が好きになれないんです。点数は★6です。
さすがにこの出来でこれ以上低い点数はつけれないです。

 僕の同僚には小さな子供がいる人が何人もいます。そいつらはやれ子どもが熱出しただの入園式だの参観日だのでしょっちゅう休んだり早退したり遅刻したりするし、子どもの世話をせなあかんとか迎えに行かなあかんという理由で僕も当然行きたくない職場の飲み会をさも当然のように断ります。僕は「お前が自分の好きで作ったガキのために何でオレの仕事が増えんねん!」とか思いながらいつも苦々しく見ているので、たまに自分は子ども嫌いかなと思ったりもするのですが、この映画のように戸籍が無いので予防接種も受けられず、学校にも行けず、病気や怪我の時も病院に行けない状況でも何とか無事に育ってきたのに、挙句の果てに親もいなくなるというところまで追い詰められた子どもたちを見てると、本当に切なくなってきます。だからこそ、せめてラストは「誰も知らない」世界の「継続」ではなく「突破」という形にしてほしかったですね。このラストでは何の希望も持てませんからね。




<誰も知らない 解説>

 主演の柳楽優弥が史上最年少の14歳という若さで、2004年度カンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた話題作。『ディスタンス』の是枝裕和監督が実際に起きた、母親が父親の違う子供4人を置き去りにするという衝撃的な事件を元に構想から15年、満を持して映像となった。女優初挑戦の、YOU扮する奔放な母親と子役達の自然な演技も秀逸。母の失踪後一人で弟妹達の面倒をみる長男の姿は、家族や社会のあり方を問いかける。

 けい子(YOU)は引っ越しの際、子供は12歳の長男の明(柳楽優弥)だけだと嘘をつく。実際子供は4人いて、彼らは全員学校に通ったこともなく、アパートの部屋で母親の帰りを待って暮らしていたが…。  

ターミネーター

人気シリーズになったのもわかる脚本とキャラクターです。

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 監督/ジェームズ・キャメロン

 出演/アーノルド・シュワルツェネッガー、マイケル・ビーン、

     リンダ・ハミルトン 

             (1984年・米)

 未来の地球では、人類vs機械の果てしない闘いが続いていて、ある日機械側は、人類側のリーダーであるジョン・コナーを歴史から抹殺しようと、1984年のロサンゼルスへ冷徹無比の殺人機ターミネーターを送り込み、いずれジョンを産むことになるサラ・コナーという女子大生を殺してしまおうとします。しかし人間側も、彼女を守るために、同じ時代にカイル・リースという一人の戦士を送り込みます。そして、カイルとサラは、ターミネーターと壮絶な戦いを繰り広げます。

 こんな超有名な、それもかなり昔に作られた映画を、今さら初めて見ました。僕はいわゆるアクション映画というものはそんなに好きではないです。ストーリーそっちのけで、銃をバンバンぶっ放してビルがドカーンと大爆発するような派手なアクションシーンだけで構成されている映画だという偏見があるからですね。

 しかしこの映画はそんなことありませんでした。アクションシーンはあるにはありますが、派手ではありません。全体的に映像は地味で安っぽいです。未来のシーンのチャチさはどうしようもないくらいです。制作年度が古いのもあるんでしょうが、昔の映画でも迫力のある映画はあるし、この映画は予算があまりなかったんでしょう。

 逆にストーリーは素晴らしいですね。単純に面白い。設定がかなり非現実的なのに、見ててバカバカしいとはまったく思いません。ツッコむ所が思いつかないぐらい良く練られた脚本ですね。

 それに、僕は普段こういう映画は「どうせ最後には主人公は助かるし、ターミネーターはやられるんだろ。」と思いながら冷めた目で見るのですが、ターミネーターは強いししつこいのでむちゃくちゃ怖いし、主人公を助けるべきカイルはすごく頼りないので、最後までまったく安心できない展開ですから、かなりハラハラしますね。

 映像がしょぼいし、自分のアクション映画に対する好き嫌いもあるので、僕の評価は★6ぐらいですが、見て誰もが面白いと思うであろう映画なのは間違いないですし、人気シリーズになったのもわかりますね。休日やその前日の夜とかに、しょうもない飲み会に行くぐらいだったら、この映画をひとりで見てるほうがよっぽど楽しいと思います。

 まあ、この映画が人気シリーズになったのは、話が面白いのに加えて、「ターミネーター」というキャラクターにかなりのインパクトがあるからでしょう。このキャラを生み出したということだけでジェームズ・キャメロンは勝ちです。むちゃくちゃ怖いし間違いなく悪役ですが、あの有名な音楽が鳴って登場するシーンなんかは鳥肌が立つぐらいかっこいいし、人を引きつけるキャラクターなのは間違いないでしょう。シュワルツェネッガーもこれ以上ないぐらいの適役です。

 そのぶん、カイルや主人公の女子大生はキャラがイマイチ立っていませんでしたけどね。シュワルツェネッガーがおいしいとこをみんな持っていっていました。



 

 
<ターミネーター 解説>

  未来で繰り広げられている人類VS機械の果てしない闘い。機械軍は人類のリーダーであるジョン・コナーを歴史から消すべく1984年のロスへ冷徹無比の殺人機ターミネーターを送り込んだ。目的は、いずれジョンを産むことになるサラ・コナーの抹殺。平凡な女子学生であるサラの前に姿を見せる黒づくめの殺人機。だがその時、彼女を守るために一人の男が現れた。男の名はカイル・リース。ジョン・コナーの命を受け、未来からやって来た戦士であった。

 

ソナチネ

自分が作りたいものを作ってるだけのような映画です。

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 監督/北野武

 出演/ビートたけし 、国舞亜矢 、渡辺哲

 (1993年・日)

 

 暴力団である北嶋組の幹部、村川が主人公です。彼は親分から、沖縄の中松組へ加勢に行って欲しいと頼まれます。村川は右腕である片桐、ケンなどをつれて沖縄へ行きますが、いきなり襲撃されます。身の危険を感じた村川達は東京の親分に連絡しますが、この沖縄行きは羽振りのいい自分達を妬んだ親分と他の幹部の罠だったことが判明し、彼らは帰るところがなくなります。

 この監督の作品は、ヤクザや刑事を題材にした映画が多いんですが、それは彼が「死」をテーマに映画を撮ることが多いから、死と常に向き合っている仕事をしている人を描くことになるんでしょう。そして彼は「死」というものに対する価値観がちょっと特殊で、人間にとってかなり重大な、深刻なものであるはずなのに、極端なぐらい価値を見出しません。

 おそらく、「生きたい」という人間の細胞の一つ一つにまで染み付いている本能を捨て、いかに自分の命を簡単に捨てることができるかということを、男の美学のように考えているんでしょう。

 僕は別にそれがカッコイイとは思いませんが、この監督が揺ぎ無い自分の価値観を持っていて、その価値観をテーマに素晴らしい表現力で作品を作り出しているのは認めます。ロシアンルーレットのシーンなんかを見ると、素直にこの監督はすごいなあと思いますね。

 だから、北野武という人の監督としての評価は、賛否両論あると思いますが、僕は才能は間違いなくあると思います。そして彼の映画の中でも、この映画は監督の価値観や主張がかなり強く出ている映画だと思いますね。

 ただ、見てて面白いかと言われると、そうでもない。客を喜ばせようというよりも、自分が作りたいものを作ってるだけのような作品です。そりゃこの監督は映画以外のとこでかなり稼いでますから、そういうスタンスで映画を作ってもいいんでしょうが、ちょっとは大衆に媚びるとこがあってもいいんじゃないかと思いますね。もちろん、人気俳優勢揃いの連ドラの延長線上のくだらない映画に比べれば、全然ましですけど。

 評価は★6ぐらいですね。ストーリーはそんなに面白くないんですが、印象に残るシーンはありますし、ちょうど真ん中ぐらいの点数です。

 ですが、この映画に出演している頃は頃はおそらく今より全然売れてなかったであろう、大杉漣や寺島進にけっこういい役を与えているのはさすがですね。人気先行の俳優を選ばずに、こういう実力派の俳優を抜擢するところは、素晴らしいと思います。

 


 

<ソナチネ 解説>

 北野武の『あの夏、いちばん静かな海』に続く四本目の監督作品。沖縄を舞台に、二つの組の間で繰り広げられている抗争の助っ人として送られたヤクザ幹部の男の結末を描く。組長からの命令により、沖縄にある中松組の抗争の助っ人として舎弟たちと共に沖縄へと出向いた村川。しかし、抗争は収まるどころかますます悪化。事務所を爆破された村川たちは、海岸沿いの空き家へと身を隠すことになる

 

ゴーストワールド

オシャレな雰囲気ですが、ストーリーはリアルな映画です。

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 監督/テリー・ツワイゴフ

 出演/ソーラ・バーチ 、スカーレット・ヨハンソン 、

     スティーヴ・ブシェミ

                 (2001年・米)

 主人公のイーニドという女の子は高校を卒業したんですが、働きもせず勉強もせずブラブラしています。将来への漠然とした不安におびえつつも、何か目標を見つけて努力することもなく、ただ漫然と日々を過ごしています。そんなある日ひょんなことから、ブルースレコードのコレクターでオタクっぽいシーモアというオッサンと出会い、ちょっと彼に惹かれるものがあり、交流を始めます。一方イーニドの親友のレベッカは、マンションを借りたり働き始めたりと自立の道を歩み出します。そうして現実に向き合うレベッカと、現実逃避を繰り返すイーニドとの距離はだんだん離れていきます。

 そんなに有名じゃなさそうな映画だし、僕もそんなに期待はしてなかったんですけど、いい映画ですね。タイトルは「ゴーストワールド」とちょっとホラー映画っぽいですが、決してお化けとかが出るわけではなく、主人公のイーニドにとっての現在生きている世界を比喩して言っているのでしょう。なかなかいいタイトルです。

 僕は大学卒業と同時に就いた仕事は人間関係とかがイヤになって半年で辞め、対人恐怖症みたいなものになってバイトもせず、1年半ぐらい半引きこもり状態の生活をしていました。その時の僕はこの映画のイーニドと同じくかなり気持ちが鬱屈していて、世の中の何もかもがイヤでイヤで、誰も彼もが嫌いで嫌いで、本当に何もする気が起こりませんでした。

 この映画の主人公のイーニドも僕も、何のとりえもないがプライドだけは高い、コンプレックスの塊のような人間です。自分が社会に出ても何もできないのは分かっていますし、それを人から責められると傷つくしムカつくし我慢できない、かといってプライドは高いから現実を見つめて努力もしない。だから人生が八方塞がりになってしまいます。

 しかしこの映画の展開にはある意味びっくりしましたね。僕は何とか働くようになり、人よりは劣っているものの昔の自分よりは社会適合性も身につけたのですが、イーニドが最後まで八方塞がりのままだとは思わなかったです。何かのきっかけで前向きに生きるようになって、彼女の将来に希望が見えるようなラストだと思っていたんですけどね。

 かなり悲しいラストです。この映画のラストはちょっとぼやけていて、監督が逃げたなという印象があるんですが、少なくともハッピーエンドではないでしょう。色々な解釈が可能だと思うんですが、僕はイーニドは死んだと解釈しました。

 だからこの映画はジャケットやイントロダクションで抱くイメージと異なり、決して女の子向きのちょっとオシャレな爽やか青春映画ではありません。主人公達の着てる服や部屋の装飾が結構オシャレなので映像の雰囲気は明るいんですが、ストーリーはけっこうリアルで救いのない話です。評価は★6ですね。好きな映画ではないんですが、映画としてはいい映画だとは思います。

 ちなみにこの映画の主演のソーラ・バーチは「アメリカン・ビューティー」で見たことがあります。その時はそんなに印象に残っていなかったんですが、この映画ではかなり良い演技をしてると思います。本人もそろそろ演技派女優への脱皮を考えているんでしょう。しかし、シーモアを演じたスティーヴ・ブシェミという人の演技はそれ以上にすごかった。この人は僕が全く知らなかった俳優です。調べてみると僕の見た映画では「アルマゲドン」に出てたようなんですが、映画自体がしょうもなくて僕が半分寝てたせいもあるのかまったく覚えていません。しかし、僕が最近見た映画の中では、間違いなくトップの演技でした。さえない中年男のほろ苦い哀愁がにじみ出ていて、とてもカッコ良く見えました。 


<ゴーストワールド 解説>

 全米の若者の間でカリスマ的人気を誇るダニエル・クロウズの新感覚コミックを「アメリカン・ビューティー」のソーラ・バーチ主演で映画化したおしゃれでキッチュでとびきり切ない青春ストーリー。イーニドとレベッカは高校を卒業した今も進路も決めないまま好きなことだけしてフラフラする毎日。ある日、二人は新聞の出会い系の広告に載っていた中年男をダイナーに呼び出し、待ちぼうけを食っている惨めな姿を見て暇を潰すのだったが……。

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