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ヤスオーのシネマ坊主
あるお方の『シネマ坊主』のパクリです。
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松本人志と映画が好きな人。
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ショコラ

女性にとっては素敵な映画なんでしょう。

r081561306L.jpg ★★★★★★☆☆☆☆ 

 監督/ラッセ・ハルストレム

 出演/ジュリエット・ビノシュ 、ヴィクトワール・ティヴィソル、
      ジョニー・デップ

 (2000年・米)

 あるフランスの小さな村の話です。この村は代々村長を務めるレノ伯爵家のもと、カトリックの厳粛な戒律と因習に縛られており、ある種の閉塞感が漂っていました。そんな村に、謎めいた女性ヴィアンヌとその娘アヌークが引っ越してきてチョコレート店を開きます。初めはいい顔をしていなかった村人達も、ヴィアンヌの作るチョコレートのおいしさに魅了され、だんだんヴィアンヌに心を開いていきます。村の雰囲気も明るくなっていくのですが、レノ伯爵だけは、このチョコレート店をこころよく思っていませんでした。そんなある日、村の川辺にジプシーの一団がやって来ます。

 大御所ハルストレムの映画なだけあって、きっちりと仕上がった映画だとは思います。しかし、どうにもこうにも食い足りない印象ですね。まあ、100%言えることは、この映画が女性向きの映画だということでしょう。美しい村の風景、上品な音楽、おとぎ話のようなストーリー、おいしそうなチョコレートと、女性が好みそうな要素が目白押しな映画です。きっと女性にとっては「素敵な」映画なのでしょう。ちなみに僕の嫁はんもこの映画の評価はかなり高かったです。

 登場人物も、主人公のヴィアンヌをはじめとした女性陣はみな生き生きと輝いているのですが、男性陣は情けない奴ばっかりです。唯一のまともな男であるジプシーのルーも、特に魅力的には見えませんですしね。というかこのルーは別に出てこなくてもいいような気がしますよ。こいつが出てくるおかげでこの映画はラブ・ストーリーの要素も加わってくるのですが、そんな要素はこの映画ではいらんかったような気がしますし。

 演じるジョニー・デップも、この映画では普通のそのへんにいるような顔がかっこいいだけの俳優に見えました。いやたしかにこの人はかっこいいですけど、この役では彼の本当の俳優としての魅力が出せていないような気がしますね。彼はすごく好きな俳優なので非常に残念です。対照的にジュリエット・ビノシュの演技はすごく良かったんですけどね。演技力うんぬんではなく、キャラクターがしっかりと息づいていたような気がします。

 そういうわけで、男の僕からしたらどう考えてもこの映画はアカデミー賞にノミネートされるような映画には見えませんでした。この映画の大きなテーマとして「ルール」と「定住と放浪」があると思いますが、この監督は「サイダーハウス・ルール」と「ギルバート・グレイプ」でこの2つのテーマはすでに描いているじゃないですか。どうしてまた同じようなテーマの映画を作ったのでしょう。おまけに「サイダーハウス・ルール」と「ギルバート・グレイプ」の方が、この映画よりもいい映画だと思いますし。

 そして、これは誰でも違和感を感じることだと思うんですが、フランスの小さな村が舞台なのに、登場人物はみんな英語を話します。これは減点対象でしょう。アメリカ・フランス合作にして、フランスの俳優を使えば済む話だと思うんですけどね。

 点数は★6ぐらいですかね。文句しか言ってないんですけど、ただのチョコレートのような甘い話で終わっていないというのはさすがハルストレムだなあと思います。これ以上ないぐらいのハッピーエンドなんですが、ほろ苦い余韻が残ります。それはやはりヴィアンヌを始めとした登場人物の持つ光の部分と影の部分をきっちりと描いているからでしょう。

 あと、僕はチョコレートは毎日食べるぐらい大好きですしね。この映画ではチョコレートが万能アイテムとして出てくるのがいいですね。これがチーズだったら僕はこの映画を見ていないでしょう。 





<ショコラ 解説>


  「サイダーハウス・ルール」のラッセ・ハルストレム監督がジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ主演で描く愛のファンタジー。古くからの伝統が根付くフランスの小さな村に、ある日謎めいた母娘がやってきてチョコレート・ショップを開店する。厳格なこの村に似つかわしくないチョコだったが、母ヴィアンヌの客の好みにあったチョコを見分ける魔法のような力で、村人たちはチョコの虜になってしまう。やがて村の雰囲気も明るく開放的なものになっていくのだが……。  

 

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狼少女

NHKのTVドラマレベルの映画だが、昭和を感じさせる。

c100759881_l.jpg ★★★★★★☆☆☆☆ 

 監督/深川栄洋

 出演/鈴木達也、大野真緒、増田怜奈

 (2005年・日)

 
 主人公の大田明の町に見せ物小屋がやって来ます。明は学校や親から見せ物小屋に行ってはだめと言われますが、見世物小屋に興味津々です。ちょうどその頃明のクラスには、可愛くて頭も良くスポーツもできオシャレな転校生の手塚留美子がやって来て、あっという間にクラスの人気者になります。また、クラスには、家庭が貧しくいつもいじめられている小室秀子という女の子がいましたが、この子が見世物小屋に出ているではないかという噂が広まります。

 おそらく予算があまりない映画なんでしょう。画面から手作り感がにじみ出てきます。映画を見ているような気がしませんでしたよ。NHKのTVドラマぐらいのレベルじゃないでしょうか。色々な小道具で昭和を再現することに頑張っているのはすごく分かるんですが、全体を見たらどこをどう見ても平成のこの世の中で撮影しているのが分かります。
 
 ストーリーもNHKのドラマっぽいですね。これ以上ないぐらいベタな展開です。開始5分でラストの映像が目に浮かびます。出てくる子どももいじめっ子も含めてみんな根はいい子ばかりですしね。自分の小学校時代を思い返すと、周りに冷酷な奴は何人もいたんですけど。

 しかし、なぜか嫌いにはなれない映画です。「三丁目の夕日」が流行っているところからも分かるように、みんな現代社会を生きるのに疲れていて、こういうノスタルジックな映画を求めているのでしょう。貧乏臭い映像もいいように考えたら温かさが感じられるし、昭和の空気を自然に演出しているともいえます。

 この映画の鍵になっている「見世物小屋」は、僕は小さい頃に一度だけ見かけたことがあります。僕は怖がりだったので中には入らなかったのですが、おどろおどろしい印象は今でも記憶に残っています。この映画はなかなかいい題材に目をつけたなと思いますよ。アレは子どもにはかなりインパクトがありますから。そういえば見世物小屋はあれ以来まったく見かけないですね。たぶん僕が小学校に入る頃にはなくなってしまったのでしょう。何であの時入っておかなかったんだと今になってすごく後悔しています。
 
 あと、この映画は男女の描き方がいいですね。間違いなく明は手塚留美子のことが好きですが、そういう態度を一切彼女の前では出しません。僕も小さい頃可愛いなと思っていた子が何人もいて、それなりに仲良くなった子もいたのに、どうして好きだと言わなかったのかこれまた後悔しています。しかしそれが昭和の小学生のいいところですね。僕の小学校時代はギリギリ昭和でしたし。今の小学生の好きな異性への態度がどんなものなのかは分かりませんが。

 また、明の母親は編みものの腕を見込まれて手芸店の社長にスカウトされ、カルチャー教室の講師をはじめるんですが、子どもたちとは対照的にこの母親と社長の描写が実にエロさを感じさせていいです。もちろんNHKのTVドラマなのでエロ描写なんて一切ないし、その事実を裏付けるセリフもないんですが、汚れた大人の僕の視点では間違いなくこの2人はただならぬ関係です。社長役は西岡徳馬ですしね。この人をチョイスするということはそういう想像をしろということでしょう。

 まあこの映画の点数はおまけして★6としましょう。主題歌も良かったですし。この映画の主題歌がアジアンカンフージェネレーションとかだったら怒りますけど、ちゃんとアコースティックギターの古くさいメロディーの曲でした。

 




<狼少女 解説>

 『紀雄の部屋』の深川栄洋監督が、口裂け女や火吹き男の“見せ物小屋”を通して昭和という時代をノスタルジックに描いた感動作。半ズボン姿もバッチリの『風の残響』の鈴木達也や、東京電力のCMで人気の大野真緒ら子役が大活躍。大塚寧々や田口トモロヲ、手塚理美など個性的な面々と見事なコンビネーションを見せる。ほろ苦い初恋の味、早く大人になりたくてもがいていたころの自分の分身を垣間見せてくれる。
 小学4年生の明(鈴木達也)のクラスに才色兼備の少女、留美子(大野真緒)が転校して来る。同じころ、街にやって来た見せ物小屋に出ている狼少女がいじめられっ子の秀子(増田怜奈)だという、うわさが立ち始める。

 

砂の器

運命は変えられると思う僕は和賀の行動が理解できない

r087138526L.jpg ★★★★★★☆☆☆☆ 

 監督/野村芳太郎

 出演/丹波哲郎、加藤剛、森田健作

 (1974年・日)

 
 国鉄蒲田操車場構内に扼殺死体が発見されました。被害者の身許が分からず、捜査は難航をきわめましたが、警視庁の今西刑事や西蒲田署の吉村刑事らの必死の聞き込みによって、前夜、蒲田駅前のバーで被害者と酒を飲んでいた若い男が重要参考人として浮かび上がります。バーのホステスの証言では、二人の間で強い東北なまりで「カメダ」という言葉が交わされていたということです。まずは東北各県より亀田姓が洗い出されましたが手がかりはなく、「秋田県・亀田」という土地名から今西は吉村とともに亀田に飛ぶが、何も発見できませんでした。その帰途、二人は列車の中で音楽家の和賀英良に偶然出会います。

 ハンセン病というシビアな題材を扱っていますが、患者への差別を社会的に告発するような映画ではありません。前半はどんどん謎が明らかになっていく推理モノの面白さがあるんですがこの映画はミステリーとしてはそんなに楽しめないでしょう。犯人はすぐにわかりますしね。だからこの映画は、つらい宿命を背負った親子を描いた、悲しい人間ドラマなんですね。

 しかし、僕にははっきり言って和賀の行動は理解できませんでした。正直そこまでしなければいけないのかと憤りすらおぼえました。やはり僕がハンセン病の患者が差別されていたというのは知っているんですが、それがどのぐらいのレベルだったかを分かっていないからですね。だから運命は変えれるものだと普通に考えてしまうし、和賀の築いてきたものが海辺の砂の器のようにもろいものだとも思わなかったです。

 ただ、最近の邦画やTVドラマでは太刀打ちできない、重厚さのある素晴らしい映画なのは分かります。奥行きの深いストーリーに、美しい映像やオーケストラ演奏の音楽を効果的に絡ませ、映画の印象をより強いものにしています。後半は壮大な叙情詩を見ているかのようです。

 「この映画は泣ける!」と以前僕の母親が言っていて、その時にどんな話かを聞いていて展開の予想がついていたからか、特に泣くことはなかったんですけどね。しかし冷めていたわけではないですよ。父と子が冬の海辺をとぼとぼと頼りなく歩くところなんかは、彼らの心情を考えると、胸が締め付けられましたから。

 回想シーンの父親役の加藤嘉という人の演技は凄すぎますね。もう亡くなった方だし、この人がどんなキャリアの持ち主かまったく知らないんですが、おそらく一世一代の演技じゃないでしょうか。この人以外の出演陣もみな演技が上手かったですけどね。最近の邦画とはえらい違いです。もちろん今でも演技が上手い人はたくさんいるんですが、主要キャラを演じる役者全員が一定の水準を満たしているというのはほとんどないですから。

 この映画の評価は★6とします。僕がもうちょっとオッサンだったら、ハンセン病に対する知識もあっただろうし、全然評価は違っていたと思いますけどね。この映画は1974年に作られているみたいですが、その時僕はまだ生まれてすらいないですから。

 あと、ラストの捜査本部・演奏会場・回想シーンの三元中継は、ちょっと狙いすぎでしょう。たいていの人はこういう演出で気分が高まるのかも知れませんが、僕はお遍路親子の映像をずっと見ていたかったですね。場面が切り替わるたびにイライラしていましたから。それもこの映画で泣けなかった理由の1つかもしれません。





<砂の器 解説>

 ある日、国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見された。被害者の身許が分らず、捜査は難航した。が、事件を担当した警視庁刑事・今西と西蒲田署刑事・吉村は地道な聞き込みの結果、事件前夜、被害者と酒を飲んでいた若い男の存在に行き当たる。今西と吉村の2人は東北なまりの“カメダ”という言葉を数少ない手掛かりに、男の行方を追う。しかし2人の執念の捜査もなかなか実を結ばず、犯人へと繋がる有力な情報は得られない日々が続いた。いよいよ迷宮入りかと思われたとき、小さな新聞記事がきっかけとなって、捜査は急展開を見せ始めた。 

クイズ・ショウ

日本の素人参加クイズ番組はアメリカより健全ですね。

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 監督/ロバート・レッドフォード

 出演/ジョン・タトゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ

 (1994年・米)

 
 1950年代にアメリカで人気があった、「21」というクイズ番組のスキャンダルを描いた話です。その番組ではハービー・ステンプルという男が無敵の強さで毎週チャンピオンの座を守り続けていました。しかし視聴率が伸び悩んでいたため、スポンサーはチャンピオンを変えろと製作陣に指示します。そして新たなチャンピオンとして、コロンビア大学の講師で家柄も良く、顔もハンサムなチャーリー・ヴァン・ドーレンが選ばれます。「21」のプロデューサーのダン・エンライトは、ハービーには別の番組への出演をちらつかせて答えをわざと間違えるように仕向け、チャーリーにはオーディションの際に本番の問題を出すという八百長を仕組みます。チャーリーは仕組まれた勝利に気がつき最初は戸惑いますが、お金と名声を得ることによって次第に感覚が麻痺し、我を忘れていきます。

 実話を基にしているからなのか、単調なリズムの地味な映画で、盛り上がりに欠けることは否めません。テレビがしょせん虚構の世界というのはほとんどの人がすでに分かっていることですし、やらせが明るみになった時のテレビ局の対応もいかにも現実的で何の驚きもありません。まあ、「発掘!あるある大事典」に感化されて納豆をたくさん食べてダイエットしようと思った人には、何らかの教育効果はあるかもしれませんけど。

 それに、ラストの映像から考えて、監督がこの映画で一番訴えたかったことというのは「大衆は何も変わらない」ということでしょうけど、大衆の娯楽がテレビだけという時代はすでに終わっていますからね。テーマとしてはちょっと弱いと思いますよ。

 しかし、悪い映画ではないんですよ。「21」がやらせであることは最初から明かされているのでサスペンス的な面白みはないんですが、それぞれの登場人物の心の動きを非常に丹念に描いている、非常に見ごたえのある人間ドラマです。

 こういう人間ドラマは役者の演技が非常に重要なのですが、その点は文句なしですね。新しいチャンピオン役のレイフ・ファインズは、見かけはいつもニコニコしていて育ちの良さそうなインテリなんですが、やましいことを裏でしてそうな薄汚れたエリートの雰囲気も同時に漂わせていて、見事な演技だと思います。旧チャンピオンを演じたジョン・タトゥーロの役作りも見事です。普段パッとしない人間でもいったん注目を浴び大金を稼ぐとここまで勘違いするんだなあとつくづく思いましたね。見ててかなり不愉快なキャラでした。演者としては大成功だと思います。

 しかし、この2人は実績のある役者だし演技が上手いのはみんな分かっているので、ある意味調査官役のロブ・モローが頑張ったからこそこの作品は良くなったと思いますよ。この映画で初めて見たんですが、自分の能力に自信を持ち決して信念を曲げない、優秀な調査官を見事に演じていました。もうちょっと痩せていたらなお良かったんですけどね。 

 この映画の点数は★6です。同じマジメ系の映画で比べると、僕は「ホテル・ルワンダ」よりこちらの映画の方が断然面白かったですね。これは監督の力量の差だと思います。

 そういえば日本も素人参加のクイズ番組はひところに比べて少なくなりましたね。大学のクイズ研究会などに所属し、知識だけでなくボタンの早い押し方も研究している、いわゆるクイズマニアが出てきてからだと思います。あいつらはこの映画に登場するハービーみたいなもんですね。しかしあいつらばっかり勝ってたということは、日本の素人参加クイズ番組はアメリカより健全なのでしょう。





<クイズ・ショウ 解説>

 '50年代後半、アメリカ全土を衝撃の渦に叩き込んだ実話の映画化。1956年、アメリカ中が熱狂し、社会現象にまでなっていたテレビのクイズ番組“21(トゥエンティ・ワン)”。コロンビア大学の講師チャールズ・ヴァン・ドーレンは、そんなクイズ番組が生んだ最大のスターだった。彼は“21”で無敵を誇ったハービー・ステンペルを打ち破った名門出の若くハンサムなクイズ王として、タイムやライフの表紙を飾り、一躍TV界の人気者となってゆく……。

CUBE2(キューブ2)

世間の評価は「1」ですが、僕は「2」の方が面白かった。

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 監督/アンジェイ・セクラ

 出演/ジェラント・ウィン・デイヴィス、カリ・マチェット、

      ニール・クローン

                     (2002年・米)

  謎の白い立方体の部屋で目覚めた8人の男女の話です。部屋の6つの面にはそれぞれドアがあり、ドアの向こうには同じような白い部屋が果てしなく続いています。いつ、どうやってここに来たのか誰にもわかりません。一同はお互いの素性をヒントに何とか脱出の糸口を探ろうとしますが、そんな彼らを様々な罠が襲います。

 設定は「1」と同じで、連続した立方体で作られた謎めいた建築物に理由も分からず閉じこめられた人達が脱出しようとする様子を描いた話です。しかし、「1」と同じなのはそこだけでした。監督も出演者も違いますし、製作国すら違うんだから、ある程度雰囲気は違うのかなあとは思っていたんですが、「1」の面影がほとんどなくなっていますね。「1」は極限状態にある人間の心理状態を生々しく描いていたんですが、「2」は踏み込んだ人物描写は全く無く、普通のSFスリラーになっています。

 つまりどう考えてもこの映画は正統派な続編ではないんですよ。だから「1」を面白いと思った人がこの映画を見たら、「ハリウッドが『CUBE』をこんなにムチャクチャにしやがった。」とかなり怒ると思います。僕は「1」がそんなに好きじゃなかったんで、わりと客観的にまったく別物の映画として見ることができましたけど。

 僕が見た印象としては、「1」よりは「2」の方が面白かったです。しかし世間の評価は圧倒的に「1」の方が高いですね。たしかに、「2」の方がケチをつける所は多いです。ラストも「何じゃそりゃ。」という終わり方だし、ストーリーもまとまりがなく、この映画はいったい何がやりたかったんやというような映画です。存在理由がまったく分からない登場人物もいるし、役者の演技も「1」の出演者に比べ全体的にヘタです。はっきり言ってしまえば「1」の方が断然出来のいい映画です。ですが僕は「2」の方が好きですね。人の好みは色々だなあとつくづく思います。

 「1」は登場人物が置かれた状況に対しての説明がほとんでなく、見た後にも大きな不条理感が残る映画なんですが、「2」は登場人物達が自分達がなぜ閉じ込められたかについて探っていくシーンが多く、それに対する答えもそれなりに示しています。「1」のような映画の作り方もミステリアスで想像力がふくらみいいかもしれないですが、僕は「2」のように謎や秘密が積み重なっていって、それが少しずつ明らかになっていくという作り方の映画のほうが楽しめますね。

 また、今回は四次元の「ハイパーキューブ」が舞台であり、「時間」が重要な要素になっています。はっきり言って僕は四次元の概念がいまいちピンとこなかったのですが、時間や空間の歪みによるトラップは新鮮に映りましたね。「1」のトラップのようなショッキングでいやらしいやつは「ソウ」シリーズでも見ていますし、もう飽きてますから。

 また、「2」はCUBEが白を基調にしたスタイリッシュな雰囲気になっていて、前作のような暗い色調による不気味な感じは無くなっていますし、トラップは完全にCGに頼っていて映像がきれいで全然怖くないですし、人物描写もあっさりしているので、緊張感や緊迫感は「1」の100分の1ぐらいしかありません。しかし、「1」のような後味の悪さや重たさもないので、気楽に見れますし、娯楽作品として純粋に楽しむにはいいんじゃないでしょうか。

 点数は★6ぐらいですかね。「1」よりは「2」の方がいいというだけで、この映画がすごい好きなわけでもないですし、まあこんなもんでしょう。僕の好きなタイプの映画ですが、あまりにも欠点が多かったのが残念です。





<CUBE2(キューブ2) 解説>

 心理療法医のケイトが目覚めると、そこは冷たく光る立方体(CUBE)の中だった。CUBEを囲む6面の壁にはそれぞれドアがあり、別の部屋へと続いていた。他の部屋へ入ったケイトは、経営コンサルタントのサイモン、盲目の学生サーシャ、さらには技術者のジェリーらと出会う。みな、ここに来た経緯も理由も知らなかった。出口を求めて移動を始めた彼らは、やがてゲームデザイナーのマックス、国防総省エンジニアのマグワイア大佐、老女ペイリー夫人たちと合流。大佐は、ここから脱出するためにはこのCUBEの謎を解く以外にないと語るのだが…。
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