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ヤスオーのシネマ坊主
あるお方の『シネマ坊主』のパクリです。
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狼少女

NHKのTVドラマレベルの映画だが、昭和を感じさせる。

c100759881_l.jpg ★★★★★★☆☆☆☆ 

 監督/深川栄洋

 出演/鈴木達也、大野真緒、増田怜奈

 (2005年・日)

 
 主人公の大田明の町に見せ物小屋がやって来ます。明は学校や親から見せ物小屋に行ってはだめと言われますが、見世物小屋に興味津々です。ちょうどその頃明のクラスには、可愛くて頭も良くスポーツもできオシャレな転校生の手塚留美子がやって来て、あっという間にクラスの人気者になります。また、クラスには、家庭が貧しくいつもいじめられている小室秀子という女の子がいましたが、この子が見世物小屋に出ているではないかという噂が広まります。

 おそらく予算があまりない映画なんでしょう。画面から手作り感がにじみ出てきます。映画を見ているような気がしませんでしたよ。NHKのTVドラマぐらいのレベルじゃないでしょうか。色々な小道具で昭和を再現することに頑張っているのはすごく分かるんですが、全体を見たらどこをどう見ても平成のこの世の中で撮影しているのが分かります。
 
 ストーリーもNHKのドラマっぽいですね。これ以上ないぐらいベタな展開です。開始5分でラストの映像が目に浮かびます。出てくる子どももいじめっ子も含めてみんな根はいい子ばかりですしね。自分の小学校時代を思い返すと、周りに冷酷な奴は何人もいたんですけど。

 しかし、なぜか嫌いにはなれない映画です。「三丁目の夕日」が流行っているところからも分かるように、みんな現代社会を生きるのに疲れていて、こういうノスタルジックな映画を求めているのでしょう。貧乏臭い映像もいいように考えたら温かさが感じられるし、昭和の空気を自然に演出しているともいえます。

 この映画の鍵になっている「見世物小屋」は、僕は小さい頃に一度だけ見かけたことがあります。僕は怖がりだったので中には入らなかったのですが、おどろおどろしい印象は今でも記憶に残っています。この映画はなかなかいい題材に目をつけたなと思いますよ。アレは子どもにはかなりインパクトがありますから。そういえば見世物小屋はあれ以来まったく見かけないですね。たぶん僕が小学校に入る頃にはなくなってしまったのでしょう。何であの時入っておかなかったんだと今になってすごく後悔しています。
 
 あと、この映画は男女の描き方がいいですね。間違いなく明は手塚留美子のことが好きですが、そういう態度を一切彼女の前では出しません。僕も小さい頃可愛いなと思っていた子が何人もいて、それなりに仲良くなった子もいたのに、どうして好きだと言わなかったのかこれまた後悔しています。しかしそれが昭和の小学生のいいところですね。僕の小学校時代はギリギリ昭和でしたし。今の小学生の好きな異性への態度がどんなものなのかは分かりませんが。

 また、明の母親は編みものの腕を見込まれて手芸店の社長にスカウトされ、カルチャー教室の講師をはじめるんですが、子どもたちとは対照的にこの母親と社長の描写が実にエロさを感じさせていいです。もちろんNHKのTVドラマなのでエロ描写なんて一切ないし、その事実を裏付けるセリフもないんですが、汚れた大人の僕の視点では間違いなくこの2人はただならぬ関係です。社長役は西岡徳馬ですしね。この人をチョイスするということはそういう想像をしろということでしょう。

 まあこの映画の点数はおまけして★6としましょう。主題歌も良かったですし。この映画の主題歌がアジアンカンフージェネレーションとかだったら怒りますけど、ちゃんとアコースティックギターの古くさいメロディーの曲でした。

 




<狼少女 解説>

 『紀雄の部屋』の深川栄洋監督が、口裂け女や火吹き男の“見せ物小屋”を通して昭和という時代をノスタルジックに描いた感動作。半ズボン姿もバッチリの『風の残響』の鈴木達也や、東京電力のCMで人気の大野真緒ら子役が大活躍。大塚寧々や田口トモロヲ、手塚理美など個性的な面々と見事なコンビネーションを見せる。ほろ苦い初恋の味、早く大人になりたくてもがいていたころの自分の分身を垣間見せてくれる。
 小学4年生の明(鈴木達也)のクラスに才色兼備の少女、留美子(大野真緒)が転校して来る。同じころ、街にやって来た見せ物小屋に出ている狼少女がいじめられっ子の秀子(増田怜奈)だという、うわさが立ち始める。

 

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