どっちかといえば松本人志が好きな人。
CUBE2(キューブ2)
世間の評価は「1」ですが、僕は「2」の方が面白かった。
監督/アンジェイ・セクラ
出演/ジェラント・ウィン・デイヴィス、カリ・マチェット、
ニール・クローン
(2002年・米)
謎の白い立方体の部屋で目覚めた8人の男女の話です。部屋の6つの面にはそれぞれドアがあり、ドアの向こうには同じような白い部屋が果てしなく続いています。いつ、どうやってここに来たのか誰にもわかりません。一同はお互いの素性をヒントに何とか脱出の糸口を探ろうとしますが、そんな彼らを様々な罠が襲います。
設定は「1」と同じで、連続した立方体で作られた謎めいた建築物に理由も分からず閉じこめられた人達が脱出しようとする様子を描いた話です。しかし、「1」と同じなのはそこだけでした。監督も出演者も違いますし、製作国すら違うんだから、ある程度雰囲気は違うのかなあとは思っていたんですが、「1」の面影がほとんどなくなっていますね。「1」は極限状態にある人間の心理状態を生々しく描いていたんですが、「2」は踏み込んだ人物描写は全く無く、普通のSFスリラーになっています。
つまりどう考えてもこの映画は正統派な続編ではないんですよ。だから「1」を面白いと思った人がこの映画を見たら、「ハリウッドが『CUBE』をこんなにムチャクチャにしやがった。」とかなり怒ると思います。僕は「1」がそんなに好きじゃなかったんで、わりと客観的にまったく別物の映画として見ることができましたけど。
僕が見た印象としては、「1」よりは「2」の方が面白かったです。しかし世間の評価は圧倒的に「1」の方が高いですね。たしかに、「2」の方がケチをつける所は多いです。ラストも「何じゃそりゃ。」という終わり方だし、ストーリーもまとまりがなく、この映画はいったい何がやりたかったんやというような映画です。存在理由がまったく分からない登場人物もいるし、役者の演技も「1」の出演者に比べ全体的にヘタです。はっきり言ってしまえば「1」の方が断然出来のいい映画です。ですが僕は「2」の方が好きですね。人の好みは色々だなあとつくづく思います。
「1」は登場人物が置かれた状況に対しての説明がほとんでなく、見た後にも大きな不条理感が残る映画なんですが、「2」は登場人物達が自分達がなぜ閉じ込められたかについて探っていくシーンが多く、それに対する答えもそれなりに示しています。「1」のような映画の作り方もミステリアスで想像力がふくらみいいかもしれないですが、僕は「2」のように謎や秘密が積み重なっていって、それが少しずつ明らかになっていくという作り方の映画のほうが楽しめますね。
また、今回は四次元の「ハイパーキューブ」が舞台であり、「時間」が重要な要素になっています。はっきり言って僕は四次元の概念がいまいちピンとこなかったのですが、時間や空間の歪みによるトラップは新鮮に映りましたね。「1」のトラップのようなショッキングでいやらしいやつは「ソウ」シリーズでも見ていますし、もう飽きてますから。
また、「2」はCUBEが白を基調にしたスタイリッシュな雰囲気になっていて、前作のような暗い色調による不気味な感じは無くなっていますし、トラップは完全にCGに頼っていて映像がきれいで全然怖くないですし、人物描写もあっさりしているので、緊張感や緊迫感は「1」の100分の1ぐらいしかありません。しかし、「1」のような後味の悪さや重たさもないので、気楽に見れますし、娯楽作品として純粋に楽しむにはいいんじゃないでしょうか。
点数は★6ぐらいですかね。「1」よりは「2」の方がいいというだけで、この映画がすごい好きなわけでもないですし、まあこんなもんでしょう。僕の好きなタイプの映画ですが、あまりにも欠点が多かったのが残念です。
<CUBE2(キューブ2) 解説>
心理療法医のケイトが目覚めると、そこは冷たく光る立方体(CUBE)の中だった。CUBEを囲む6面の壁にはそれぞれドアがあり、別の部屋へと続いていた。他の部屋へ入ったケイトは、経営コンサルタントのサイモン、盲目の学生サーシャ、さらには技術者のジェリーらと出会う。みな、ここに来た経緯も理由も知らなかった。出口を求めて移動を始めた彼らは、やがてゲームデザイナーのマックス、国防総省エンジニアのマグワイア大佐、老女ペイリー夫人たちと合流。大佐は、ここから脱出するためにはこのCUBEの謎を解く以外にないと語るのだが…。