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ヤスオーのシネマ坊主
あるお方の『シネマ坊主』のパクリです。
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松本人志と映画が好きな人。
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パイレーツ・オブ・カリビアン

            
/デッドマンズ・チェスト

完璧に「3」への繋ぎの作品です。

r082099325L.jpg ★★★★★★★☆☆☆ 

 監督/ゴア・ヴァービンスキー

 出演/ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ

 (2006年・米)

 

 前作で呪われた海賊バルボッサとの壮絶な闘いを乗り越えたジャック・スパロウは、再びブラックパール号の船長となりました。しかし彼は13年前に、悪名高い幽霊船フライング・ダッチマン号の船長デービー・ジョーンズと、ブラックパール号の船長の座と引き換えに永遠の労役に服す契約を交わしていて、その契約の刻限が迫っていたのです。一方、結婚式を挙げようとしていたウィルは、海賊ジャック・スパロウを逃がした罪で、拘束されることになります。ウィルは罪を免除する代償として、この逮捕を演出した東インド会社のベケット卿に、同じく拘束されてるエリザベスを人質にジャック・スパロウを連れてくるように要求されます。


 まず言えることが、この作品は完璧に「3」への繋ぎの作品です。「1」のように話が丸く収まっていないので、見終わった後の爽快感がまったくありません。「2」の冒険はそれなりに片がついているんですが、ラストが新しい展開を提示しただけで終わる形になっているので、どうにもすっきりしないんです。

 まあシリーズ物だから仕方ないと言われればそれまでですが、僕はこういう作り方は好きじゃないですね。僕は「1」をこのブログで満点をつけたぐらい気に入ったので、「2」がどんな終わり方であっても「3」を見るのに、作り手側の煽りに自分がのせられて「3」を見るみたいな気がしてムカつきます。

 あと、僕が「1」を高評価した最も大きな理由は、主人公のジャック・スパロウが魅力的だということなんです。おそらくこの映画を好きな人のほとんどがそう思っていると思います。「1」はこんな魅力的なキャラが登場したというだけですごいインパクトがあったのですが、「2」には初登場で魅力的なキャラは特にいないですし、主人公のジャック・スパロウすらイマイチだったんです。

 「1」に比べて活躍しないですからかっこ良くもないですし、人間性も「1」の時の方が良く見えましたね。ジャック・スパロウが前作のように圧倒的な活躍をしないぶん、ウィルは前作より活躍するんですが、こいつは別に普通のカッコいい兄ちゃんで、ジャック・スパロウほどキャラが立っていませんからね。

 とまあ文句ばかり言ってますが、面白くないわけではないですよ。それどころか面白いです。話の中身は前作と同じくスカスカで、特に心に残ったエピソードもありません。しかしたっぷりと盛り込まれた派手なアクションシーンは、純粋に映画を楽しもうという気持ちで気楽に見たら、やっぱり「1」と同じく面白いです。

 普通はこれだけ見せ場が続く映画は見てて疲れてくるもんですが、この映画のアクションシーンは笑いを加味しつつのドタバタ劇のようなものが多く、程よい緊張感で気楽に楽しめますからね。笑いという点では「1」に勝っているような気もします。特に島の原住民たちに捕らえられたジャック・スパロウや、ウィルと乗組員達の脱出劇は、かなり笑えます。

 というわけでこの映画は単品として見たら終わり方は気にいらないものの、娯楽映画としての平均水準は間違いなく満たしているので、評価は★7としときます。2時間半という長い尺の映画なのに飽きずに見れたというのはやっぱりすごいことだと思いますしね。





<パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 解説>

 ディズニーランドの名物アトラクション“カリブの海賊”を壮大なスケールで映画化した、人気海洋アドベンチャー活劇の続編。主演のジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ以下、前作のスタッフ&キャストが再結集するほか、『ラブ・アクチュアリー』の個性派ビル・ナイ演じる海の悪霊デイヴィ・ジョーンズが敵役で新たに登場する。同時撮影されたパート3への期待を募らせるストーリー展開にも着目。
 ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)は、海底の支配者として悪名高い、さまよえる幽霊船“フライング・ダッチマン”の船長デービー・ジョーンズ(ビル・ナイ)に多額の借金があった。ジャックは自分自身の保身のため、仲間であるはずのウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)やエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)を裏切ってしまい……。
 
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ホテル・ルワンダ

「知るべき」映画だが「見るべき」映画とは思わない。

c100635611_l.jpg ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 監督/テリー・ジョージ

 出演/ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、

        ホアキン・フェニックス

                       (2004年・英、伊、南アフリカ)

 

 1994年のルワンダという国での話です。この国ではフツ族とツチ族の民族紛争が終息し、和平協定が結ばれることになっていました。しかしラジオで、「フツ族出身の大統領がツチ族に殺された」というニュースが流れたのをきっかけに、政府軍とフツ族によるツチ族と反乱軍への虐殺が始まりました。自らはフツ族ですがツチ族の妻を持つホテルの支配人のポールは、家族をホテルにかくまいますが、逃げ場を失った人々も次々とホテルに押し寄せてきます。1200人以上の人をかくまうことになったポールは、国連や諸外国の救援を待ちます。
  
 この映画は、自分が無知であったことに気づかせてくれたという点で、たいへんためになった映画です。ルワンダという国は名前しか知らなかったし、ルワンダがベルギーによる「フツ族」、「ツチ族」の区分けによって国内がムチャクチャになっていたことも知らなかったし、そもそもルワンダ紛争と虐殺の事実を知りませんでした。この映画に登場するジャーナリストが、「今起きている虐殺の映像を世界に発信しても、他国の人々はその映像を見て『怖いね。』と言うだけでディナーを続ける。」とか言っていましたが、映像すら見ていない僕はその人達以下ですね。

 僕以外にもルワンダ紛争について知らない人はいるでしょうから、このような映画が作られることは大変有意義なことであると思います。しかし、この映画を見て面白かったかというと、たいへん言いにくいですが面白くなかったです。「知るべき」映画だとは思いますが、「見るべき」映画とは思いません。

 僕はこの映画は虐殺の実態を生々しく描き、残酷な現実を見る者に突きつけるような、かなり重たい作品だと思っていたんですよ。しかし実際はそうでもなくて、暴力描写も少ないし、娯楽要素もあり、わりと普通の映画です。いや僕は別に残酷なシーンが好きなわけではないんですよ。ですが、インターネットでの署名運動により公開が実現したと言うわりには、何やこの程度かいなと、ちょっと拍子抜けしました。どうして公開が危ぶまれたのかよく分かりません。この程度の映像だったら、ドキュメンタリー番組でなんぼでも見れるでしょう。

 それに僕がこの映画を見て、自分の意識が何か変わったかといえば、何も変わっていませんから。例えば、国連軍が外国人だけを助けて撤退してしまうシーンがあります。国連にとっては、ルワンダは救う価値のない国で、ツチ族は救う価値のない人々なんでしょう。しかしルワンダが原油やダイヤが産出されてもっと豊かな国であったり、ツチ族のルーツが西側諸国の人々と同じであったりしたら、もっと事態は変わっていたかもしれない。これは一言で言うと差別です。ですがこの映画は見る人に「国連軍は最悪や!差別しやがって!」と思わせることはできても、見る人1人1人の意識を変えるほどのパワーは持っていない映画のような気がします。

 あと、史実は別にしてエンターティメントとしての映画として言わせてもらうと、この映画は主人公のポールの家族愛が大きなテーマの1つなんですが、こいつの妻がどうしようもないオバハンなんですよ。ポールは機転も利き、勇気もあり、行動力もあり、プロのホテルマンとして培った信頼や交渉術も持っている、闘う力を持った人間です。しかしポールがその力で1200人以上もの人々を救うためにがんばっているのに、オバハンの方は、寝て、食って、怯えて、たまに兄夫婦を探せと言って、ホテルにかくまっている人全員のために頑張ろうとしているポールをなじってと、何の役にも立っていないうえに自分達のことばかり考えている人間です。「お前のダンナが体張って頑張ってるんだから、お前も少しは頑張れよ!」とイライラして困りましたよ。

 おまけにこの映画はこのオバハン以外を見ても、「この人は立派だなあ。」と思える人間がポール以外まったくいません。ポール1人だけが極端に魅力的に描かれています。僕は昔「ブレイブハート」という映画を見て涙が出るくらい感動したんですが、この映画のどこに一番感動したかというと、英雄ウィリアム・ウォレスが立派だったということではないんです。闘い続けた彼の勇気に彼の周りにいた自分の保身ばかり考えていた人も感化され、最後にみんなが立ち上がり闘ったところなんです。まあ、事実を基にした映画なので、実際にポール以外に称賛すべき人間がいなかったんだと言われればそれまでですけど。

 この映画の評価は★1ですね。たぶんこの映画にこんなに低い評価をつけるのも僕ぐらいでしょう。
 




<ホテル・ルワンダ 解説>

 アフリカのルワンダで内紛による大量虐殺の危機から人々を救った、実在のホテルマンの勇気と良心を描いた感動ドラマ。主演はスティーヴン・ソダーバーグ監督作品の常連、ドン・チードル。『父の祈りを』など脚本家として活躍するテリー・ジョージが脚本、監督、製作を手がけ、1200人もの命を守り抜く男の勇姿をヒロイックに描き出す。日本公開は危ぶまれていたが、若者によるインターネットでの署名運動が功を奏し、公開が実現した話題作。
 1994年、ルワンダの首都キガリ。高級ホテル「ミル・コリン・ホテル」で働く支配人のポール(ドン・チードル)は毎日順調に仕事をこなしていたが、ある晩、ホテルからの帰宅途中に街で火の手が上がっているのを発見する。

 

深紅

「火曜サスペンス劇場」レベルの、重みも深みもない映画

r082060435L.jpg ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 監督/月野木隆

 出演/内山理名、水川あさみ、小日向文世

 (2005年・日)

 

  主人公の秋葉奏子は、修学旅行での宿泊先で、家族が事故に遭ったという知らせを聞きます。先生に連れられ急いでタクシーで病院に駆けつけたのですが、両親と弟2人はすでに死んでいました。実は彼らは、都築則夫という男に殺されたのです。秦子はそれ以来、宿泊先から病院までの4時間の追体験に襲われる後遺症に悩むことになります。そして、8年後、大学生になった奏子は、自分の身元を隠したまま、自分の家族を皆殺しにした都築の娘、未歩に近づいていきます。

 全然面白くなかったですね。以前見た同じようなテーマの映画である「オールド・ボーイ」と比べて、ストーリーもイマイチだし、主演の役者の演技も「オールド・ボーイ」の主役のオッサンに比べれば全然だし、演出も安っぽいし、すべてにおいてスケールの小さい作品で、重みも深みもありません。「火曜サスペンス劇場」ぐらいのレベルですかね。
 
 未歩の父である都築則夫についてはあまり突っ込んで描いておらず、主人公の女性2人の心情に的を絞って作っている映画です。しかしその2人、特に奏子からは、「加害者の娘」、「被害者の娘」として背負っているものの重さがあまり感じられませんでした。この映画は結局は過去を乗り越えるということがどういうことなのかを言いたいんでしょうが、2人の過去の重さが伝わってこず感情移入もできない僕には何の感動もありません。2人のキスシーンも、意味していることはストーリーの流れで分かるんですが、僕にとっては「何でそこまでするの。」といった感じです。

 それまでの話の展開も面白くなかったですね。奏子は、自分の家族を殺した男の娘である未歩を当然憎んでいます。しかし、奏子と未歩はその事件により人生を狂わされたという共通の過去を持っており、2人にしか理解できないものがあるのです。奏子はそういう複雑な感情のもと、未歩を許すのか憎み続けるのか、どちらを選択するのか、といったことを描いているんですが、僕は正直どっちでもええわと思いました。だいたい奏子の復讐計画がつまらないですからね。未歩がダンナにDVを受けていて苦しんでいるので、未歩にその夫を殺してみればと提案するんです。おいおいその程度かよと思いましたよ。

 あと、配役についてですが、小学生時代の奏子の役を堀北真希がやったらいかんでしょう。修学旅行中という設定なのでランドセルを背負うシーンがなかっただけでもよかったんですが、いくら何でも小学生には見えません。おまけに、この子が8年たったら内山理名になるというのはいくらなんでも無理やりすぎです。無名でもいいから、もうちょっと内山理名に似た子役を連れてくればいいじゃないですか。事務所の意向みたいなのが見え隠れしていて嫌な感じがしました。都築則夫役の緒方直人も、おそらくこの役で新境地を開きたかったのでしょうが、僕には役に合ってないなという印象しかありませんでした。先生役の南野陽子は、どういうキャラを演じたいのかよく分かりませんでした。単に演技が下手なのかも分かりません。

 主演の内山理名についても、以前から僕はこの人は女優としてどこが素晴らしいのかがまったく分からなかったんですが、この映画でもショットによっては本当にブスに見えるし、演技も上手くないでしょう。大学の友人役をしている安めぐみが内山理名のことを美人だと言うシーンがあったのですが、僕にはイヤミにしか聞こえませんでした。水川あさみの方はこの人の持つ雰囲気が役に合っていたので、まだ内山理名よりは良かったと思います。

 というわけでこの映画はただただ早く終われという気持ちだけで見ていたのですが、ラストの未歩の携帯の画面が映るシーンは、やられたなと思いましたね。この映画はここだけは良かったですよ。点数は★1ですね。

 僕が映画を見るパターンとして、自分で見たいなと思うのをDVD借りてきて見るパターンと、嫁はんが借りてきたDVDをヒマだから横で見てるパターンとがあります。この映画は後者のパターンで、自分では絶対に借りないであろう映画です。このパターンで映画を見たら、つまらん映画だと、嫁に「こんなしょうもない映画見せやがって!オレの貴重な時間を返せ!」と僕は自分で勝手に見たくせに怒って、夫婦ゲンカの元になあまり良くないのですが、たまに「ジョゼと虎と魚たち」みたいな当たりもあるので、ついつい人の借りてきたやつも見てしまうんですね。 


 




<深紅 解説>

 「眠れる森」などTVドラマの脚本を手がけ、「破線のマリス」で江戸川乱歩賞を受賞した野沢尚が自身の作品を脚本化した同名小説の映画化。一家惨殺事件で家族を失った孤独なヒロインに内山理奈がふんし、その小学生時代を堀北真希が演じる。加害者の娘役には水川あさみが熱演し若手女優がシリアスな演技合戦を見せる。監督は『白い犬とワルツ』をの月野木隆。先の読めない展開と人間の心の描写など野沢の構成力が光る。
 小学生の秋葉泰子(堀北真希)は修学旅行中に深刻な面持ちの担任(南野陽子)に呼び出される。泰子の家族が深刻な事故に遭ったためにすぐに帰るようにと促されるが……。

CUBE(キューブ)

人間の負の部分が強調されていて、後味は良くない。

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 監督/ヴィンチェンゾ・ナタリ

 出演/モーリス・ディーン・ウィン、ニコール・デ・ボア、

         デヴィッド・ヒューレット

             (1997年・カナダ)

  
  幾何学的な模様の壁に囲まれた、立方体の部屋。その部屋には、上下左右前後、つまり部屋のすべての面に扉がついています。しかしどの扉を開けても、同じような部屋が延々と続いています。このような奇妙な建造物に連れてこられた5人の人間、彼らはみな目覚めてみたらなぜかこの場所におり、わけもわからずさまよっているうちに偶然出会ったのです。5人は出口を探して部屋から部屋へと移動するのですが、この建造物はいくつかの部屋に殺人的なワナが仕掛けられていて、まずは刑務所脱獄の常習犯であり脱獄のプロともいえるレンが、ワナにかかって死んでしまいます。しかし彼らは、途中で出会った精神病のカザンと共に、なお脱出を試みます。

 この映画はまず着想が素晴らしいです。面白くないはずがないだろうというぐらいの斬新な設定です。いくらいいアイデアに基づいて作られた作品でも、あまりにもストーリー展開がお粗末だと二流の作品で終わりますが、この映画は見せ方もうまいです。この6人がここに閉じ込められた理由についての説明が一切ないところや、いやらしくて強烈なワナの数々、脱獄の天才みたいなキャラをはじめに殺すところなど、こちらの緊張感はいやでも持続していきます。

 登場人物はオープニングですぐに死ぬ人を入れて7人ですが、この映画ではそいつら以外にはまったく人間は出ません。本当に役者を7人しか使っていないのです。外の世界を描いたシーンも一切なく、同じような立方体の部屋ばかりでストーリーが進行していくので、この映画のセットは部屋から部屋へ移動するシーンを考えても部屋のセットが2個あれば十分でしょう。そうして考えるとおそろしく金のかかっていない映画ですが、それは言い換えれば極度の低予算でもこれだけのレベルの作品を作ることが出来るということを証明しています。費用対効果で考えれば稀有な名作ですね。

 建造物の正体というこの映画最大の謎が謎のまま終わるのも、この映画のよいところではないでしょうか。話の途中で登場人物の中の一人であるワースが建物の外壁を設計していたことが判明するのですが、こいつも「全体像を知る者はいない。」とか、「何の展望もなく行われている計画だ。」とか、あげくのはてに「人生は複雑だ。」とかわけのわからないことしか言わないので、結局謎は謎のまま終わります。まあ卑怯といえば卑怯な作りですが、色々な解釈が出来るので想像がふくらんでいき、スケールの大きな映画に見えてきます。続編を作るのにも好都合ではないでしょうか。

 しかし、映画としての出来がそれなりにいいことは認めますが、好きか嫌いかといえばあんまり好きではない映画ですね。とにかく一筋縄ではいかない話です。仲間達が力を合わせて幾多の困難に立ち向かうというような単純な脱出劇ではありません。それまでの人生で一切接点のなかった人達が1つの場所に閉じこめられ、命の危険に晒されたときに、人間はどのような心理状態に陥るか。極限状態での人間の狂気や脆さをかなり生々しく描いています

 まあ実際におかしくなっていくのは1人だけなんですが、こいつが本当にムチャしますから、決して後味のよい映画ではありません。僕は始めは、登場人物たちそれぞれに見せ場があるので、こいつらはみんな理由もわからずに謎の建造物に閉じこめられ、たまたま出あったように見えるけれども、それは決して偶然でなく、一人一人の存在に何か意味があるのではないかと思っていたんですが、そうでもなさそうですね。人間の負の部分が強調されています。僕はあまりこういう展開にはしてほしくなかったなあと思うんですが。どうも後半はB級サスペンス映画のように見えてしまいます。

 あと、登場人物の一人に大学で数学を専攻しているレブンという女子大生がいて、彼女が自分の才能を活かし部屋につけられたシリアルナンバーに法則があることを発見するんですが、文系の僕には何を言っているのかまったくわかりませんでした。もうちょっとアホの僕でも分かる法則にしてほしかったですね。

 僕のこの映画に対する評価は★5です。この映画は僕の周辺では非常に評判がいいので、僕の好みではなかっただけで、いい映画なんじゃないでしょうか。





<CUBE 解説>
 

 奇抜なストーリー、斬新なビジュアル・センスで話題となったカナダ産異色サスペンス。謎の立方体(=CUBE)に閉じこめられた男女6人の脱出劇を、緊迫感漲る演出で描く。ゲーム感覚の謎めいた物語やシュールな美術・SFX等を駆使し、人間の闇部を抉った秀作。ある日突然、密室に閉じこめられた6人の男女。それは正方形の巨大な立方体だった。いったい何のために作られたものなのか、なぜ自分たちが閉じこめられたのかは誰も知らない。脱出方法は6つあるハッチのいずれかを選び、同じ立方体でつながっている隣に移動しながら出口を探す以外ないが、いくつかの部屋には殺人トラップが仕掛けられていた。そんな中、やがて彼らは安全な部屋を示す“暗号”に気づくが・・・。

イン・ザ・プール

主人公の伊良部医師は最高の名医だと思いました。

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 監督/三木聡

 出演/松尾スズキ、オダギリジョー、市川実和子

 (2005年・日)

 

  この映画は、田辺誠一が演じるプールへの依存症があるエリートサラリーマン、市川美和子が演じる確認行為についての強迫性障害のフリーライター、オダギリジョーが演じる持続勃起症の営業マン、という3人の患者が、松尾スズキ演じるかなりとぼけた精神科医伊良部のもとへやってきて、ふざけた治療を受けるハメになってしまう話です。

 以前に「亀は意外と速く泳ぐ」という作品を見てなかなか良かったので、同じ監督のこの映画もビデオ屋で借りてみたのですが、こちらも同じぐらい良かったですね。この映画は原作があるらしく、そっちは僕は読んでいないんですが、ここまでトボけた作品ではないと思います。「亀は意外と速く泳ぐ」もそうですが、体から力が抜けてしまうぐらいのくだらなさ、そして不思議な温かさと見た後の爽快感は間違いなくこの監督の持ち味ですし、この映画も監督の持ち味が存分に発揮された作品です。

 まず精神病を題材にしているところがあっぱれですね。ちょっと世間でタブー視されているものですし、そういうテーマを扱った本やドラマやドキュメンタリーで軽いノリのものを僕は今まで見たことありません。しかし、この映画の主人公である伊良部医師は、かなり無責任でいいかげんなキャラです。3人の患者の持つ心の病に対して決して深刻になることなく、明るく軽いノリで治療を行います。治療方法もふざけているようにしか見えません。

 しかし僕は、伊良部がただのバカとは思えませんね。それどころか、すべて計算で動いている最高の名医なんじゃないかと思いました。一般的に考えて精神科に行くというのはけっこう勇気がいることですが、実際に勇気をふりしぼって行ったらこんないいかげんなオッサンが出てきて、自分の病状についてもふざけた受け止め方しかしてくれないんです。患者は怒るというよりも、脱力感でいっぱいになると思いますよ。そうやって患者をリラックスさせることこそが伊良部の狙いなんでしょう。また、ユーモアたっぷりの治療も、このオッサンが患者の張り詰めた気持ちを解きほぐすことを第一に考えているからだと思います。

 これはただの僕の独りよがりの仮説ですが、けっこう当たっていると思いますよ。何だかんだ言って3人の患者が全員快方に向かっているのが何よりの証拠です。ストレスと笑いに深い関係があるのも生物学的に当たり前のことですしね。

 まあ僕の仮説はともかく、この映画には、普通じゃないなんていう悩みは誰もが何かしら抱えていることであり、そんなこと特に深刻にとらえる必要もないし、楽しく生きたらいいじゃないか。それに心の病気なんて、ふとしたくだらないことで治ったりしちゃう軽いものなんだよ、という前向きなメッセージがあります。これは現代のストレス社会にとってはかなり重要なメッセージだと思いますよ。

 僕のこの映画の評価は★8です。この映画は、随所にちりばめられている笑いは「亀は意外と速く泳ぐ」と似たようなもので相変わらずくだらないし、構成もかなり無造作で1本の映画としてのまとまりもないし、テンポも全体にまったりしていて緩急も盛り上がりもないし、賞を獲ったり後世に残る名作でないのは確かですが、僕は好きですね。精神病棟で看護師として勤める僕の妹もこの映画は絶賛していましたから、ただの軽いノリだけの映画ではないとは思いますよ。

 ちなみにラストシーンは映像的にもきれいですしインパクトもありますし、かなりいい感じですね。映像的にいいと思ったのはこのシーンだけですが。 
 





<イン・ザ・プール 解説>

 奥田英朗が直木賞を受賞した人気小説「空中ブランコ」の主人公、精神科医の伊良部が大活躍する「イン・ザ・プール」を三木聡監督が映画化。主演は松尾スズキ、共演はオダギリジョー、市川実和子、田辺誠一。原作のテイストをそのままに随所に笑いが散りばめられたエンターテイメント・ムービー。
 中堅メーカーに勤務する営業マン・田口(オダギリジョー)は、ある日突然、継続性勃起症になってしまう。一方、ルポライターの岩村(市川実和子)は家のガスの元栓を閉めたかということから始まり、確認行為の慣習化による強迫神経症になる。そして田口と岩村は伊良部総合病院の精神科に通うはめになり……。

 

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