どっちかといえば松本人志が好きな人。
ほしのこえ
ほとんど1人で作ったということに意味がある作品です。
監督/新海誠
声の出演/篠原美香、新海誠、武藤寿美
(2002年・日)
爽やかな中学生カップルのミカコとノボルが主人公です。 中学3年生の夏、ミカコは異生命体を追跡調査する目的の国連宇宙軍の選抜メンバーに選ばれ宇宙へ行きます。 ノボルは地球でそのまま高校に進学します。2人の間を繋ぐのは携帯電話のメールのみです。国連宇宙軍は宇宙の先へ先へと進んでゆき、ミカコはだんだんと地球から離れていくので、地球にいるノボルへのメールはだんだん届くのに時間がかかるようになってきます。ひたすらノボルからの返事を待ちながら異生命体と戦うミカコと、ミカコからのメールを待ちながら大人へと成長してゆくノボルのとても長距離な恋愛を描いた話です。
僕は過去にエヴァンゲリオンを見ようと思ってDVDの第1巻を借りて、10分でバカバカしくなって見るのをやめた男です。子どもの頃、ガンダムやマクロスにも全然興味がなかったです。だからこういう近未来を舞台にしたメカ同士が戦うような映画はたぶん自分には合っていないだろうなと思いつつも、新海誠という人間がほとんど1人で作った作品だという話を聞いたので、気になって見ることにしました。ですが、この映画を見るにあたってメカの好き嫌いはあんまり関係ないですね。完全に恋愛がテーマの映画です。
しかし、どういういきさつでこの女の子は中学生なのに国連宇宙軍の選抜メンバーに選ばれたのかとか、宇宙船と地球との通信手段がなぜ携帯のメールなのかとか、なぜいつもこの女の子は制服を着ているのかとか、しょうもないことが気になって、映画の雰囲気に入っていけなかったですね。あまり細かいことを気にせず、こういう登場人物が少ない小さな世界にどっぷりひたれればいいんでしょうけど、僕はダメでした。
恋愛の描き方も、どう考えても男目線ですしね。まず、ヒロインのミカコは美少女です。そして、ミカコが当然に持っているであろう同性の友人や国連宇宙軍の仲間などノボル以外の人間関係が全然描かれていないので、ミカコはあくまでノボルのことだけを考えている子、悪い意味でいえばノボルの所有物に見えます。この映画のラストで感動するのも男だけでしょうね。
ただ、この映画は、新海誠という人間がほとんど1人で作ったということに一番意味があるので、普通の映画のようにストーリーなどにあれこれケチをつけるのはナンセンスなんですけどね。スタジオジブリの新作がこの映画だったら間違いなく大ブーイングです。1人で作ったからこそ、主流のものを嫌い非主流のものが好きな人たちに支持され、そこそこ有名な作品になり、僕も見たんですから。
僕も、1人でこの作品を作ったことに対しては素直にすごいと思いますし、野球でいえばセ・リーグよりパ・リーグが好きな非主流のものを愛する人ですから、この映画に対する評価はそんなに悪くないです。★4ぐらいにしときます。
それに、ストーリーがイマイチでも、僕が見るかぎりは絵はすごくきれいですし、たぶんこの監督の持ち味だと思いますが作品全体の印象がすごく爽やかですから、見てて全然苦痛ではないです。ポスターとかがあったら欲しいぐらいです。
ちなみに、この映画のDVDには、「彼女と彼女の猫」という作品もおまけで入っています。こちらは5分ぐらいしかないんですけど、僕は「ほしのこえ」よりこちらの方が気に入りました。ポスターとかがあったら欲しいぐらいです。
<ほしのこえ 解説>
個人制作でありながらもクオリティの高いフルデジタルアニメーション。制作者の新海誠は本作をMacたった1台で作成したという。長峰美加子と寺尾昇は仲の良い同級生。中学3年の夏、美加子は国連宇宙軍の選抜に選ばれたことを昇に告げる。翌年、美加子は地球を後にし、昇は普通に高校へ進学。地球と宇宙に引き裂かれたふたりはメールで連絡を取り続ける。しかしメールの往復にかかる時間は次第に何年も開いていくのだった。美加子からのメールを待つことしかできない自分に、いらだちを覚える昇だったが…。