どっちかといえば松本人志が好きな人。
スチームボーイ STEAMBOY
僕がこの映画で良いと思ったのは絵だけです。
監督/大友克洋
声の出演/鈴木杏、小西真奈美、中村嘉葎雄
(2003年・日)
19世紀半ば、万国博覧会を目前に控えたイギリスに住む少年レイが主人公です。ある日レイの元に、アメリカで父と共同研究中の祖父から謎の金属ボールが届けられます。そこへオハラ財団と名乗る男たちがボールを渡せとやって来ます。祖父の、「オハラ財団には絶対に渡してはならない」という指示に従い、レイはボールを持って逃げます。
この映画はとても評判が悪いですね。実際見ましたが、その評判に違わぬ出来でした。この映画で僕が良いと思ったのは絵だけですね。それ以外は全部ダメでした。
僕が小学校の頃に面白くて何回も見た「天空の城ラピュタ」にけっこう似ているんですが、あっちが★10だとしたら、こちらは★2ですね。ラピュタのような面白い冒険活劇を見ている時の興奮がこの映画の場合まったくありませんでした。
これは僕がラピュタを見た時より年とったからとかいう問題ではないと思いますよ。僕は今でもラピュタ以外のスタジオジブリのアニメはちょこちょこ見ていますが、少なくともこの映画よりはハラハラドキドキしますし。
単純に話が面白くないんでしょうね。序盤のレイがボールを持って逃げるとこあたりまではそこそこ盛り上がって面白かったんですが、この映画はそこがピークです。レイがロンドンに連れ去られてからはずっと眠かったです。そして、一番盛り上がって然るべき後半部分が最も面白くなかったです。
後半は本当にひどいですよ。ただロンドンの街の破壊活動を映してるようにしか見えませんからね。目的は違うものの、登場人物全員が破壊活動に邁進しているように見えます。ロンドンの街に大惨事が発生しているのに、誰一人として壊された建物や下敷きになった人達のことを心配していませんから。こいつらはいったい何なんだと思いましたよ。
「こいつら」と言いましたが、この映画は、それぞれの登場人物がどういった人間なのか見ててもよくわからないんですよ。人間を描くということについてはこの監督はあまり気にしていなかったんでしょう。主人公のレイですらどんな奴がよくわかりませんから。まあこいつは主人公だから善側の人間だな、といったぐらいの認識しかないです。
さらに、声優のチョイスも悪いです。このチョイスだとスタジオジブリと一緒です。スタジオジブリの映画は普段あまり映画なんか見ないカップルも家族連れも見ますから、有名人を起用した方が話題作り、客寄せにいいかもしれません。しかし、「大友克洋」というブランドでは親が子どもに見せたい映画にはならないでしょう。そのブランドが通じるのは主に20代~30代の男でしょうね。その層の人はそういう声優の起用は決して望んでいないと思いますね。実際にレイ役の鈴木杏は上手くはなかったし、ロイド役の中村嘉葎雄は聞き取りづらくて論外でした。
<スチームボーイ STEAMBOY 解説>
19世紀の産業革命のイギリスを舞台に、驚異の発明“スチームボール”をめぐる少年の勇気と希望の冒険物語。監督は『AKIRA』で全世界に認められたクリエーターの大友克洋。主人公レイの声は『花とアリス』の鈴木杏。スチームボールを開発させた財団の令嬢スカーレットを『阿弥陀堂だより』の小西真奈美が担当している。総作画枚数18万枚の緻密に描かれた映像とその迫力は必見。