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ヤスオーのシネマ坊主
あるお方の『シネマ坊主』のパクリです。
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THE 有頂天ホテル

誰が見ても楽しめる高水準のエンターティメント作品

r082088277L.jpg ★★★★★★★☆☆☆ 

 監督/三谷幸喜

 出演/役所広司、松たか子、佐藤浩市

 (2005年・日)

 

 大晦日の夜から年明けまでの「ホテルアバンティ」を舞台にした話です。実質的にホテルの業務をとりしきっている副支配人の新堂平吉は、カウントダウンパーティーの準備で大忙しです。しかし、娼婦が入って来たり、総支配人が行方不明になったり、新堂の別れた妻が新しい旦那とやって来たり、汚職が取りざたされてマスコミに追われている政治家が身を隠すためにやって来たり、主婦層に大人気の大物演歌歌手がやって来たり、パーティに登場する芸人のアヒルが行方不明になったり、と色々な騒ぎが起こります。複雑に絡み合うトラブルに悪戦苦闘しながら、何とかパーティが無事開かれるようにがんばる新堂を描いています。

 三谷幸喜はメディアへの露出が多いところも気に入らないし、フジテレビの色が強いのも気に入らないし、これは他の人にも当てはまりますが偏った俳優の起用をすることも気に入らないので、はっきり言って好きではない脚本家です。この映画も実際に三谷色の強い俳優はたくさん出ていますし、女子アナが出ているなどフジテレビにありがちな軽薄な空気も漂っています。

 しかし、面白いことは面白いです。先日見た「アモーレス・ペロス」で疲れきった頭をリラックスさせるにはちょうどいい映画でした。肩の力を抜いて気楽に楽しめる、典型的なドタバタコメディですね。登場人物も悪人は1人もおらず、みんな愛すべきキャラクターです。

 脚本はさすが三谷幸喜といったところで、ホテルのあちらこちらで色々な出来事が起こりますが、ラストはすべてがきれいに繋がってすっきり終わり、きっちりとまとまっています。非常に密度が濃くて完成度の高い脚本ですね。また、ちょっとナンセンスな笑いがあらゆる所にちりばめられていて、大笑いはないですけど、普通に見てて面白いです。

 ただ、映画としてはさすがにリアリティがなさすぎますかね。登場人物の中では常識人な方である役所広司や松たか子もホテルの従業員としてはありえない行動をしますし、唐沢寿明やオダギリジョーなんかは見た目からしてありえません。それにみんな昔の愛人だの別れた妻だの過去に因縁があった人に都合よく同じ日に会いすぎですね。こういう映画は映画としては評価されないでしょう。僕は別に面白いからいいんですけど。

 あと、この映画は長回しの映像が多いように感じるし、設定もホテルの中という限られた空間ですし、舞台劇のような形で作られた映画のような気がします。笑いも舞台にありがちなまったりした笑いですし。監督も「舞台」という状況で自分の能力が最大限発揮できるのを分かっているからこそ、開き直ってこういう作り方をしているんでしょうね。

 この映画の点数は★7とします。三谷幸喜嫌いの僕でもそれなりに面白かったんですから、誰が見ても楽しめる、エンターティメントとして高い水準に達している作品だと思います。こういう映画は作風だのご都合主義の展開だのと細かいことをゴチャゴチャ言わず、あくまで「楽しむ」ということに徹して見たらいいのではないでしょうか。まあ、世の中の映画がみな「アモーレス・ペロス」みたいな重たいのばかりだったらしんどいですし、こういう映画も必要だと思います。

 ちなみにこの映画の出演陣はこれでもかというぐらいのオールスターキャストです。これだけのメンバーを揃えたということだけでもこの映画はすごいですね。当たり前ですが演技が達者な人が多いです。しかしそのぶん香取慎吾や川平慈英など演技が下手な役者が逆に目立ってしまってましたね。香取慎吾なんかは昔はこいつはすごい俳優になると思ってたんですが、僕の勘違いでした。なってませんね。たぶん演技の勉強とかしてないんでしょう。

 




<THE 有頂天ホテル 解説>

 人気脚本家の三谷幸喜が『ラヂオの時間』『みんなのいえ』に続き、今度は大晦日の高級ホテルで繰り広げられる奇跡のドラマを描いた監督第3作。役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾など日本映画を代表する23人の豪華キャストが、迷路のようなホテルの中で働く従業員や訳ありの宿泊客を演じる。登場人物の人生を同時進行形式で絡ませ、伏線を縦横無尽に張りめぐらす三谷脚本の緻密な構成力は、見事としか言いようがない完成度だ。
 大晦日を迎えた「ホテルアバンティ」では、ホテルの威信がかかった年越しカウントダウンパーティーの準備で大忙し。そんな中でも副支配人の新堂平吉(役所広司)は、様々な問題に機転を利かせて対応するのだが……。

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